[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリアの金融規制協議会は17日、国内大手行に対し、責任ある融資と住宅ローン債権のリスク管理を求めたことを明らかにした。
同国では住宅価格が急騰しており、リスクの高い融資が増える兆候が出ている。
同協議会は、家計の債務が所得を上回るペースで増加し続けた場合のリスクに対処するため「政策の選択肢」について協議していることも明らかにした。
健全性規制庁(APRA)が銀行の融資基準を注視しているとも表明した。
金融規制協議会は、APRA、財務省、準備銀行(RBA、中銀)、企業規制当局で構成されている。
同協議会は「APRAは大手行に対し、住宅ローンポートフォリオのリスクを積極的に管理し、引き続き融資基準と貸し手のリスク選好度に着目することを保証するよう書面で求めた」と述べた。
オーストラリアの家計の債務は、所得の180%、国内総生産(GDP)の120%を超えており、世界でも有数の規模に達しているが、賃金の伸び悩みは続いている。
マクロプルーデンス政策の監督緩和や大規模な金融緩和政策などを背景に、主要都市の住宅価格は前回2017年に付けたピークを約10%上回っている。
ただ、同協議会は、国内の融資基準は全体としては依然「健全」だと指摘。今後もこの状態を維持することが重要だと述べた。
RBAのロウ総裁は17日の講演で「現時点の問題ではないが、金融規制協議会は、家計の債務が急増し、国内経済の将来の安定に対するリスクが高まった場合の政策対応について協議した」と述べた。
具体的には、LTV(融資額と担保資産価値の比率)、LTI(融資額と所得の比率)、投資家や金利オンリー型融資に対する制限を挙げたが、現時点ではまだ「積極的な検討」を進めていないという。