来週は引き続き追加財政策の行方や今後の金融政策の決定での鍵を握る7月の雇用統計に注目したい。
労働市場の先行指標ともなる週間新規失業保険申請件数は2週連続で再び増加に転じた。
19週連続で100万件を上回り失業保険継続受給者数も過去8週間のうち初めて増加した。
当初一時的と見られていたパンデミックが起因した経済封鎖により失われた職も、その内50%が恒久的に失われる可能性が懸念されている。
3月の経済封鎖以降5400万人が失業保険を申請しており、これは大恐慌時の2200万人を大きく上回り米国が1930年代の大恐慌時以来で最悪の労働危機に直面していることになる。
7日に発表予定の7月雇用統計で、失業率は6月の11.1%から10.2%まで低下が予想されているほか、雇用者も200万人増と6月からはペース鈍化も3カ月連続の増加が平均予想となっている。
しかし、新規失業保険申請件数の増加を受けて雇用減少に修正しているエコノミストもおり、ネガティブサプライズには警戒したい。
失業率が高止まりする中で、ウイルス感染の再燃で経済活動の再開が思ったように進行せず回復ペースが停滞しており、新たな解雇に踏み切る企業も見られる。
景気後退が深刻化する可能性や追加財政策の実施が遅れることがリスクとなるだろう。
一方で、4-6月期企業決算が警戒されていたほど悪化しておらず、引き続きハイテク株が相場の牽引役となりそうだ。
アナリストが業績悪化を過剰に織り込んでいたこともあり、実際の決算ではアナリスト予想を上回る例が散見され、ポジティブサプライズが市場を支える可能性がある。
その他経済指標では、7月ISM製造業景況指数(3日)、7月耐久財受注(4日)、7月ADP雇用統計、6月貿易収支、7月ISM非製造業指数(5日)、週次失業保険申請件数(8月1日)(6日)が予定されている。
全米の製造業動向を判断するISM 製造業景況指数や消費動向を見極めるためISM非製造業指数といった重要指標にも注目したい。
企業決算では消費財のクロロックス、食肉・食品のタイソンフード(3日)、エンタテインメントのウォルト・ディズニー、代替肉メーカーのビヨンドミート、衣料ブランドのラルフローレン、飲料メーカーのコカ・コーラ(4日)、ヘルスケアのCVS、オンライン決済のスクウエア、バイオテクノロジーのモデルナ、ネット家具小売のウェイフェア、動画配信サービスのロク(5日)、通信のTモバイル、配車サービスのウーバー、カジノ運営のウインリゾーツ(6日)、クルーズ運営のロイヤルカリビアンやノルウェジアンクルーズ(7日)などが発表予定となっている。
クロロックス、ウェイフェア、ロク、スクウェアは在宅やパンデミックが追い風となり収益増が期待される。
ウォルトディズニーはテーマパークの営業再開がウイルスの再燃で思ったように進まず引き続き収益圧迫が懸念されるものの、海外の需要増が一部相殺すると期待されている。
ラスベガス州などで再び休業に追い込まれたウインリゾーツも中国での売り上げがどこまで貢献するか注目したい。
クルーズ運営会社は当局からの許可が下りずに営業停止が続いており、引き続き損失が懸念される。
(Horiko Capital Management LLC)