■手掛かり難のなか日経平均3週ぶり下落今週の日経平均は3週ぶりに下落した。
週を通じて東証1部出来高は10億株台を割り込み、手掛かり難の展開となった。
週明け17日の日経平均は5日ぶりの反落で始まった。
14日のNYダウは上昇したものの、ナスダック総合指数は3日ぶりに反落となる中、円相場が一時1ドル=106.40円台までの円高となったことが嫌気された。
前週14日までに4日続伸した日経平均は900円超上昇したこともあり、利益確定売りが先行して一時下げ幅は220円強に広がった。
18日の日経平均も小幅続落となった。
17日の米国市場はNYダウが反落、ナスダックは反発し過去最高値を更新するなか、為替の円高基調を嫌気し買いが引き続き手控えられた。
加えて、米中高官の第1段階貿易協定を巡る会合が延期され、米国政府が中国ファーウェイへの制裁強化を発表し、ハイテク株中心に米中対立を懸念した散発的売りに押された。
18日の米国市場はNYダウが続落、ナスダックは続伸、S&P500種指数は史上最高値を更新した。
19日の日経平均は方向感が不透明な中、小幅安で始まったものの、為替の円安を受けてプラス圏へ浮上し3日ぶりに反発した。
19日の米国市場はNYダウ、ナスダックともに下げた。
7月開催分のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録で、下半期の見通し引き下げが示唆されたと同時に、次回会合での追加緩和の可能性について言及がなかったことが嫌気された。
この流れを受けて20日の日経平均も反落した。
好決算を発表しながらも時間外取引で伸び悩んだ米半導体エヌビディアの動きなども警戒され、半導体を中心に電子部品関連株に対する売りが目立ち、大引けの日経平均は前日比229.99円安となった。
20日のNYダウは、アップルが上場来高値を更新するなどハイテク株に幅広く買いが入り、大引けにかけて上昇に転じ反発した。
ナスダックも反発して2日ぶりに過去最高値を更新。
この米国株高を好感して21日の日経平均は反発して始まると朝方には前日比254.81円高まで上げ幅を広げた。
しかし、週末を控えて一段の上値追いの動きは乏しく、円高も相まってその後は伸び悩んだ。
日経平均は前日比39.68円高の22920.30円で大引けた。
21日のNYダウは190.60ドル高の27930.33ドルとナスダックとともに続伸した。
7月中古住宅販売件数、8月PMI速報値などの経済指標やワクチン開発を巡る報道が好感された。
■海外勢復帰で市場エネルギーは回復来週の日経平均は、上値の重さと手掛かり難が意識されつつも堅調な展開が見込まれる。
米国の経済指標は強弱感が対立しており、日米市場ともに方向感がつかみにくくなっている。
27日に米4-6月期GDP改定値と「ジャクソンホール会議」開催に伴うパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長発言、28日には米7月個人所得・個人支出が予定されているが、為替の円高につながることになると、日経平均は一時的にせよ、調整色を強めそうだ。
また、8月18日の日銀のETF(上場投資信託)買い入れ額は、1日当たり803億円と前回8月5日買い入れの1003億円からダウンしていることも気掛かりだ。
停滞する米追加財政政策の協議、実体経済の重石となる米中の対立、第2波とも懸念される日本と欧州での新型コロナウイルスの感染拡大といった警戒材料は引き続き横たわっている。
ただ、日経平均の日足チャートを見ると、19日に75日移動平均線が200日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスを示現し、これでチャートは長期の200日移動平均線を最下に75日移動平均線、25日移動平均線、そして5日移動平均線の順で並んで、テクニカル的には右肩上がりとなる理想的な形となっている。
また、夏休みモードとなっていた海外勢が市場に戻ってくることが見込まれ、減退していた市場エネルギーも回復してくることが期待され、大幅な調整は想定しにくい。
■IT系グロース株の人気継続物色面では、新たな流れが芽生えつつある。
米国では5G対応の新型アイフォーンへの期待が高まる携帯端末のアップルが米国企業で初めて時価総額2兆ドル突破、米EV(電気自動車)メーカーであるテスラの株価は日中ベースの最高値更新が続き、米小売り最大手の米ウォルマートの時価総額を上回るなどシンボリックな動きが出てきている。
一方、国内では値がさハイテク株、大型バリュー株の循環物色が一巡し、コロナ禍でも事業成長が期待される任天堂 (T:7974)、エムスリー (T:2413)、Zホールディングス (T:4689)などIT系グロース株の上昇が目立ってきた。
9月下旬に登場するIPOの発表が活発化してきたことで、マザーズ・ジャスダックの新興市場銘柄も直近IPO銘柄から物色にうねりが出てきており、この動きが継続しそうだ。
■米4-6月期GDP改定値、米ジャクソンホール会議来週の主な国内予定は、26日に7月企業向けサービス価格指数、27日に6月全産業活動指数がそれぞれ発表される。
一方、米国など海外では、24日に米7月シカゴ連銀全米活動指数、米共和党全国大会(27日まで)、25日に米6月FHFA住宅価格指数、米6月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米8月CB消費者信頼感指数、27日に米4-6月期GDP改定値、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長発言、米7月中古住宅販売仮契約、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」をオンライン開催(28日まで)、28日に米7月個人所得・個人支出がそれぞれ発表、開催される予定だ。