【先週の概況】■米利下げ観測後退、ドル・円は112円台に上昇先週のドル・円は強含み。
節目とみられていた1ドル=112円を上回った。
国際通貨基金(IMF)は2019年の世界の成長率見通しを下方修正したことや、10日発表の3月米消費者物価コア指数が市場予想を下回る伸びにとどまったことから、米利下げ観測が浮上し、ドル売り・円買いが一時強まった。
しかしながら、11日に発表された3月米生産者物価指数は市場予想を上回ったことや、前週分の新規失業保険申請件数は20万件の大台を下回ったことから、利下げ観測は大幅に後退した。
12日に発表された中国の3月貿易統計で輸出が予想外の伸びを記録したことから、リスク選好的な円売りが優勢となった。
12日のニューヨーク外為市場でドル・円は、111円86銭から112円09銭まで上昇した。
良好な中国の貿易統計や米金融機関の好決算を好感してリスク選好の円売りが優勢となった。
予想を上回った米3月輸入物価指数もドル買い材料となったようだ。
ドル・円は112円01銭でこの週の取引を終えた。
ドル・円の取引レンジ:110円84銭−112円09銭。
【今週の見通し】■米国株高持続の思惑でドルは底堅い展開か今週のドル・円は底堅い展開か。
3月19-20日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに慎重なハト派寄りの金融政策スタンスにシフトしたことを示唆する内容だった。
利上げ局面の終了を意識して米国株式は上昇基調が続く可能性があり、米国株高を意識してリスク回避的なドル売りは抑制される展開となりそうだ。
直近の雇用関連指標は良好であり、小売売上高やフィラデルフィア製造業景気指数などの経済指標が堅調だった場合、株高を通じてリスク選好的なドル買いに振れやすいだろう。
一方、欧州中央銀行(ECB)は少なくとも2019年末までの政策金利据え置きと緩和的な金融政策を堅持する方針を表明している。
金利要因でドルが選好される可能性もあろう。
ただ、今週15-16日にワシントンで開催予定の日米通商協議では、関税だけにとどまらず為替問題に議論が及ぶ可能性がある。
トランプ政権は貿易赤字是正を目指し、相手国の通貨安政策を封じており、今回の交渉で為替問題(通貨安のけん制)がテーマに含まれた場合、思惑的な円買いを招く場面もありそうだ。
このタイミングで米国の主要経済指標が市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は否定できない。
【米・3月小売売上高】(18日発表予定)18日発表の3月小売売上高は前月比+0.8%と、2月の−0.2%から大幅に改善する見通し。
昨年12月は予想外に落ち込んだ(前月比−1.6%)ことから、引き続き個人消費の動向が材料視される。
市場予想に沿った数字だった場合、株高・ドル高の相場展開となる可能性がある。
【米・4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(18日発表予定)18日発表の米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(景況調査)は11.0と、3月の13.7をやや下回る見込み。
今年2月には約3年ぶりにマイナスとなったことから、指標の下振れが警戒されている。
予想レンジ:111円00銭−113円00銭