[香港 3日 ロイター] - 香港の弁護士でつくる香港大律師公会は、9月に予定されていた立法会(議会)選挙を1年延期する香港政府の決定は法律に違反している可能性があるとの見解を示した。
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は31日会見し、新型コロナウイルス感染者数の増加を理由に選挙を延期すると発表した。政治的な配慮はないとした。
立法会選挙は香港国家安全維持法(国安法)が6月末に施行されて以来初めての選挙となるはずだった。国安法は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託を犯罪行為と定め、最高刑として終身刑を科す。
香港の選挙法制は最長14日間の延期しか認めていない。ただ、植民地時代の法律によって公共の安全への脅威に対応する際は政府に広範な権限が認められている。
香港大律師公会は2日付の声明で、選挙法はより新しいもので、選挙時の公衆衛生上の危険に具体的に対応する内容になっているため、「一般的には」古い法律よりも優先されるべきだと指摘。
選挙を延期するために有事法制を発動すれば、「法律違反となる可能性がある」とした。
選挙延期発表の前には民主派候補12人の立候補資格が取り消されているため、新型コロナ感染拡大を受け延期を決定したとの当局の説明に懐疑的な見方が多くある。
昨年の区議会(地方議会)選挙で大躍進した民主派は、立法会選挙で歴史的な過半数奪取を目指していた。
林鄭月娥長官は立法会議員の任期満了に伴う立法上の空白を解消するために香港政府は中国の全国人民代表大会(全人代=国会)に助けを求めていると表明。
これについて大律師公会は、香港政府は「異議申し立ての可能性を回避」するために中国政府を引き入れ、香港の基本法など現地法の規定を実質的に無効化しようとしていると批判。「香港での法の支配を損ねる」行為だと批判した。
ポンペオ米国務長官は、立法会選挙の延期について、「香港が2度と選挙をできなくなる可能性は高い」と述べて非難した。