[東京 11日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、一進一退の展開が見込まれる。米雇用統計発表後の米国株が大幅高となったことで、週明けは買いが先行するとみられるものの、引き続き原油価格や為替、欧米金利の動向など外部要因に左右されやすい。国内企業の決算発表が相次ぐなかで、好業績や株主還元などを手掛かりとした個別株物色の傾向が強まりそうだ。
日経平均の予想レンジは1万9100円─1万9800円。
8日に発表された4月の米雇用統計は経済に勢いが戻りつつあることを示唆する一方、米早期利上げ観測が強まるほどの強い内容ではなかったため、超低金利が当面続くとの見方が広がり、米国株の押し上げ要因となった。「世界的な金余りの環境下では、売るより買いたい投資家の方が多い。大きな流れのなかでは先進国の株高基調は続く」(BNPパリバ証券・グローバルマーケット統括本部長の岡澤恭弥氏)と指摘されている。
もっとも、4月下旬からのドイツ国債利回りの上昇などをきっかけに、足元では短期筋を中心とするポジションの巻き戻しが進行。日本株も利益確定売りが優勢となり、日経平均は4月23日の年初来高値から1000円近い調整を経た。原油価格やギリシャ債務問題など外部要因には不透明感も残り、株価の下振れリスクは消えていない。
国内では建設や医薬品、銀行などを中心に決算が発表される。市場では「主力だけではなく、中小型の好業績銘柄にも物色が広がっており、決算発表を手掛かりに売買が活発化しそう」(内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏)との声が出ている。自社株買いや増配など株主還元策の強化にも注目度が高く、個別株物色が強まりやすいという。
メリルリンチ日本証券の集計によれば、5月1日までに発表された2015年度の経常増益率(会社計画ベース)は、前期比8.8%増となった。2桁増益予想の市場コンセンサスを下回っているが、全般相場への影響を懸念する声は乏しい。
同証券・株式ストラテジストの阿部健児氏は、期初計画は保守的になりやすいこと、想定為替レートが実勢よりも円高であること、景気回復が業績改善を後押しすることなどを理由に「コンセンサス予想を下回る会社計画は、日本株の先行きにとって大きな懸念材料ではない」との見方を示している。
主なスケジュールは、国内で13日に3月国際収支と4月景気ウォッチャー調査、海外では、11日にユーロ圏財務相会合、13日に4月米小売売上高、15日に4月米鉱工業生産などが発表される。
(株式マーケットチーム※)