[ヘルシンキ 23日 ロイター] - フィンランド税関は23日、ウクライナ侵攻に伴う欧州連合(EU)の対ロシア制裁の初期の影響によるフィンランドとロシアの貿易の落ち込みは、1991年のソ連崩壊時より大きかったと発表した。
フィンランド税関のペンティラ統計局長はロイターに対し、EUが制裁を開始する前の2週間と比べ、この2週間でロシアからの輸入とフィンランドからロシアへの輸出の合計は約60%減少したと述べた。
その上で「90年代に制裁はなく、決済取引は機能し、(企業の)風評リスクもなかった。現在ではこれら3つの全てが起きており、その影響は90年代よりも明らかに大きいことを意味する」と語った。
ペンティラ氏は金融制裁は輸出制裁よりも大きな影響を及ぼし、最大の影響は風評リスクと指摘。西側諸国の企業がロシアにとどまることで顧客から非難されることを避け、自主的にロシアから撤退するためとした。
貿易のデータによると、最も減少しているのは機械や設備、電気製品などの制裁対象品目。だが、紙や段ボール、エネルギー製品といった制裁で直接的な影響を受けない品目の貿易も減ったことが明らかになった。
自主的な決定が輸入に最大の影響を与えており、一例としてフィンランドの石油精製会社ネステはロシアから輸入していた原油の一部をノルウェー産に切り替えた。
フィンランドの林業グループ、UPMとストラ・エンソは、国際認証機関がロシア産木材を「紛争木材」に分類したため購入を停止した。
フィンランド自然資源研究所のデータによると、フィンランドの木材業界は昨年、年間消費量の約10%に当たる約900万立方メートルの木材をロシアから輸入した
長期契約で続いているロシアからの輸入が今後終了し、貿易は減少し続ける可能性が高い。また、ウクライナ戦争が長引いた場合、EUは制裁を一段と強化する可能性がある。