[ニューヨーク 28日 ロイター] 29日からの週の米国株式市場は、3月の米雇用統計で雇用者数がプラスに転じ、堅調な景気回復を裏付ける内容になるとの観測が高まる中、ダウ工業株30種<.DJI>が1万1000ドル台をつける可能性がある。
ダウとS&P総合500種<.SPX>はほぼ1年半ぶりの高値水準にあり、四半期末を控えたポジション調整で一段と上昇する可能性がある。
ただ、米10年債の利回りが4%近辺に上昇する中、過去1年にわたり大幅に上昇してきた株式より、比較的安全な米国債の買いが進む可能性もある。
エコノミストは2日に発表される3月の米雇用統計について、非農業部門雇用者数の約19万人増を予想している。ただ、2日がグッドフライデーの祝日に当たることから、投資家が雇用増への期待感を材料に統計発表前に買いを入れるかどうかは不透明。強気筋には、31日のADP全米雇用報告と1日の新規失業保険申請件数が支援材料となる可能性もある。
フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は、今週は「明らかに雇用統計が最も重要だ」と指摘。失業保険申請件数が、2日の雇用統計発表前の買いを促すほど非常に明るい内容とならない限り、市場は翌週5日に後れて反応するだろう、と述べた。
前週1週間の米株式市場は、一部の欧州諸国の財政問題や米医療保険改革をめぐる不透明感が後退したことを受けて4週連続で上昇。ダウは1%高、S&P500は0.6%高、ナスダック総合指数<.IXIC>は0.9%高となった。
米債券市場では前週、10年債利回りが4%近辺まで上昇した。比較的安全な米国債が4%の利回りとなれば、資金が株式から国債に回される可能性がある。利回りの上昇は資金調達コストの上昇にもつながる。プルデンシャル・フィナンシャルの市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「弾みをつけようとしているぜい弱な経済にとって懸念材料になる」と述べた。
今週は指標が目白押しで、消費者関連では29日に2月の個人所得・消費支出、30日に3月の消費者信頼感指数が発表される。同じく30日には1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、1日には2月の建設支出が予定されている。
雇用関連統計では2日に発表される3月の非農業部門雇用者数が19万人増と予想されているが、失業率は9.7%で変わらない見通し。31日のADP全米雇用報告は民間部門雇用者数が4万人増、1日の新規失業保険週間申請件数は44万2000件から44万件に減少するとみられている。
このほかでは、31日のシカゴ地区購買部協会景気指数、1日のISM製造業景気指数および自動車販売台数にも注目が集まる。
今週は出来高が増加する可能性もある。四半期末を控え、一部の運用担当者はポートフォリオの調整でより好調な銘柄に入れ替える公算で、これが相場の押し上げにつながれば、主要3指数は5週連続で上昇する可能性がある。
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