[ロサンゼルス 24日 ロイター] - 映画「ジョーカー」が全米や日本で10月4日に公開されるのを控え、2012年にコロラド州の映画館で起きた銃乱射事件の犠牲者の遺族は、制作会社のワーナー・ブラザーズに銃規制改革のロビー活動を支援するよう求めた。同作品が暴力につながる精神の崩壊を描写していることに懸念を示した。
遺族5人はワーナー・ブラザーズに書簡を送り「大きな影響力には大きな責任が伴う」と指摘。銃の数を減らし、より安全な社会を共に築くため、同社が持つ巨大なプラットフォームを利用するよう呼び掛けた。映画の公開中止は求めていない。
ホアキン・フェニックス主演の「ジョーカー」は今年のベネチア国際映画祭で最高賞に選ばれた。DCコミックスのバットマンの宿敵ジョーカーが主人公で、恐ろしい暴力をふるうようになる社会的に孤立した人物を描いた作品。
ワーナー・ブラザーズは24日、同社は長年にわたり銃による暴力の被害者への寄付を行っているとし、これにはコロラド州の事件の被害者も含まれると説明。映画については「架空のキャラクターであるジョーカーも映画自体も、現実の世界での暴力を支持するものではない。このキャラクターをヒーローとして掲げることは、映画、制作者、スタジオの意図でない」とした。
遺族の1人はハリウッド・レポーターのインタビューで「神経が高ぶり、銃乱射事件を起こすことを待っているような人がこの映画によって後押しされるかもしれない。とても怖いことだ」と述べた。
一方で、主演のフェニックスやトッド・フィリップス監督は「ジョーカー」が暴力を助長する恐れがあるとの見方を否定。フェニックスはエンターテインメント関連サイトIGNに対し「皆こうした問題を理解し懸念している。だからこそこれについて話し合っている」と語った。
2012年の事件では、コロラド州の映画館で「バットマン」シリーズの「ダークナイト ライジング」の深夜上映中に男1人が銃を乱射し、12人が死亡、70人が負傷した。