中国国内のシンクタンクがこのほど発表した調査では、中国の家計債務の規模は2008年世界金融危機発生前の米国水準に匹敵すると示された。
専門家は、家計債務の急増による個人消費の低迷や企業業績の低下、銀行の不良債権増加などで、経済成長が鈍化した中国経済が一段と失速し、今後ハードランディングする可能性があると懸念した。
上海財経大学高等研究院が今月7日に公表した研究調査によると、2017年までの中国家計債務の対可処分所得比率は107.2%に達した。
米国の現在の水準を上回ったうえ、08年世界金融危機が起きた前の米家計債務水準に近い状況だという。
また、中国人民大学の研究チームが6月にまとめた調査報告では、中国家計債務の6割以上が住宅ローンだと指摘された。
一部の市民が、頭金の調達は自己資金からではなく、頭金ローンや消費者金融などを利用しているため、金融リスクを拡大させているという。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の経済学者、兪偉雄氏は、中国経済の減速による失業率の上昇と所得減少で、今後住宅ローンの返済が困難な人が急増する恐れがあると指摘した。
「これによって、金融リスクは住宅市場から金融市場全体まで広がる可能性が高い」と、兪氏は米中国語メディア「新唐人テレビ」に対して述べた。
一方、中国の蘇寧金融研究院は、家計債務の増加ペースが非常に速いとの見解を示した。
過去10年間において、部門別債務比率をみると、家計等の債務比率は20%から50%以上に膨張した。
一方、米国では、同20%から50%に拡大したのに40年かかった。
兪氏は、家計債務の急拡大は、近年中国当局が経済成長を維持するために次々と打ち上げた景気刺激策と大きく関係するとした。
「当局は、いわゆるマクロ経済調整を実施して、経済の変動・衰退を先送りしてきた」
上海財経大学高等研究院は同研究報告を通じて、公にされていない民間の貸し借りを加えると、中国の家計債務規模はすでに「危険水準に達した」と警告した。
家計債務の急増は個人消費に影響を及ぼしている。
中国個人消費の動向を示す社会消費品小売総額の伸び率は7年間連続落ちている。
2011年の社会消費品小売総額は前年比で20%増だったが、今年1~6月までは、前年同期比で1桁の9.4%増に低迷した。
個人消費の不振は企業収益の減少、銀行の不良債権の増加につながる。
兪偉雄氏は、今後中国経済がハードランディングする可能性が高いと推測した。
「中国経済に多くの難題が山積みしている。
中国当局が今まで、不合理な政策をたくさん実施してきたことが最大の原因だ」
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】