■株式相場見通し
予想レンジ:上限18500-下限18200円
来週は米国市場のほか、原油相場や欧州の動向を睨みながらの相場展開になりそうだ。
米国では感謝祭翌日のブラックフライデー(黒字の金曜日)からクリスマス商戦が本格化するが、週明けのサイバーマンデー(オンラインショップのクリスマス商戦開始日)への期待も大きいだろう。
ちなみに、米調査会社による2016年のクリスマスシーズンの売上は、前年比で11%とこれまでで最大の伸びを記録する見通し。
オンラインの売上は916億ドル(約10兆円)に達すると予想される。
足元ではウォルマートやギャップが予想を下回る決算を発表しており、慎重な見方もされている。
しかし、トランプ政権に対する期待感から消費が上向いている状況となれば、相場の押し上げ要因になろう。
また、日本でもブラックフライデーを導入する企業が増えてきており、大規模なセールが開催されている。
先週は東京の都心で11月としては54年ぶりに初雪を観測したほか、明治8年の統計開始以降、初めて積雪を観測するなど冬型の気圧配置強まっている。
冬物衣料などの需要も高まることになろう。
一方で月末にはOPEC(石油輸出国機構)総会が控えており、神経質になりやすい。
減産合意となれば市場は評価することになろうが、これまでの経緯からすると期待は低そうである。
ハシゴを外される可能性があるとすれば、物色に対する手控え要因になるだろう。
その他、イタリア政府は憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に実施する。
ブレグジットとドナルド・トランプ氏の次に来るのはイタリアとの見方もされている。
英国、米国に続く次の舞台としてイタリアの国民投票に注目が集まるなか、こちらも物色を手控える動きにつながる可能性がありそうだ。
とはいえ、ブレグジットとトランプ・ショック後の相場反転を見る限り、市場は調整局面に対しては押し目拾いと考えそうだ。
日経平均は終値ベースでの年初来高値を更新しており、いったんポジションを軽くしておきたいところ。
ただし、これといった調整が無いなか、判断に迷うところである。
トランプ相場はトランプ氏の発言等でひっくり返るリスクはあるが、今はポジションを減らしても、ショートポジションを積み上げるにはリスクが高いだろう。
押し目待ちに押し目なしの状況のなか、OPEC総会、イタリアの国民投票で買い場が到来する可能性がありそうだ。
雇用統計については非農業部門雇用者数が前月比18万人増、失業率は4.9%と予想されている。
雇用統計の前哨戦となるADP雇用報告のほか、ISM製造業景況指数等が予想を上回るようだと、雇用統計への期待のほか、12月利上げ観測がより強まる格好となり、ドル高・円安基調が強まることになろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は堅い動きが続く見込み。
11月1-2日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を見る限り、次回12月12-13日開催のFOMC会合での利上げ決定が確実視されている。
7-9月期米国内総生産(GDP)改定値や11月米雇用統計などの主要経済指標が想定内の内容であれば、12月利上げを見込んだドル買いが強まる見通し。
また、トランプ次期政権による拡張的な財政政策(景気刺激策)によりインフレ率の上昇が予想されており、来年以降の利上げペースがやや速まるとの見方も、引き続きドル買いを促す要因となりそうだ。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)関係者などの金融当局者から米金利の急激な上昇をけん制する発言があれば、長期金利は急低下し、ドル上昇のペースは緩やかになる見込み。
■来週の注目スケジュール
11月28日(月):伸銅品生産統計、ドラギECB総裁が欧州議会委員会で証言など
11月29日(火):有効求人倍率、米7-9月GDP改定値、米消費者信頼感指数など
11月30日(水):鉱工業生産指数、独失業率、米ADP全米雇用報告、米個人所得など
12月 1日(木):法人企業統計調査、米ISM製造業景気指数、中製造業PMIなど
12月 2日(金):米非農業部門雇用者数、欧生産者物価指数など
12月 4日(日):イタリア国民投票など