16日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。
世界的な景気減速への懸念は弱まり、円安方向に振れやすい地合いとなる見通し。
ただ、日米通商交渉で為替条項が盛り込まれるとの警戒感から円売りは弱まり、引き続きドル・円の上値が重いだろう。
前日の海外市場で、欧米市場では材料難からレンジ取引が続き、心理的節目の112円が壁になる場面もあった。
ただ、NY連銀製造業景気指数が予想以上に強含み、米国経済の減速懸念の後退でドル・円は112円台を回復。
本日のアジア市場では、15日と同様に節目を挟んだ値動きが続く。
日経平均株価のプラス圏推移で株高を好感した円売りに振れやすいものの、年初来高値(112円14銭)を目前に高値圏では利益確定売りが出やすく、ドル・円は111円台後半を中心とした値動きに。
また、米10年債利回りが前日比ほぼ横ばいで推移するなか、ユーロ・ドルが底堅く推移しドルは下押しされやすいようだ。
この後の欧米市場では、欧米の経済指標が材料視される。
18時発表のドイツのZEW景気期待指数はプラス転換が予想され、想定通りの内容なら過度の景気減速懸念は弱まり、ユーロ買いや円売り方向に振れやすい。
一方、22時15分の米国の鉱工業生産は伸び拡大が予想され、ドル買いが入りやすい地合いとなろう。
ただ、今晩の日米通商交渉(最終日)を見極める展開で、円売りは弱まるとみられる。
ドル・円は引き続き年初来高値を目指すものの、強い手がかりは乏しく、上値の重さが目立ちそうだ。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・17:30 英・12-2月ILO失業率(予想:3.9%、11-1月:3.9%)・18:00 独・4月ZEW景気期待指数(予想:0.5、3月:-3.6)・22:15 米・3月鉱工業生産(前月比予想:+0.2%、2月:0.0%←+0.1%)・22:15 米・3月設備稼働率(予想:79.2%、2月:79.1%←78.2%)・23:00 米・4月NAHB住宅市場指数(予想:63、3月:62)・03:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演(ダラス連銀主催地域フォーラム)・日米通商交渉(最終日、ワシントン)