■市場環境
全国保証 (T:7164)が対象としている民間住宅ローン市場は、新設住宅着工戸数の動向に大きく影響を受ける。
2009年度から2010年度にかけてはリーマン・ショックに伴う景気後退の影響により新設住宅着工戸数及び住宅ローン市場はともに低迷したが、2009年度をボトムとして回復基調にあり、2016年度(2016年4月−2017年3月)の住宅ローン市場(民間及び公的機関)は新規貸出額が24.5兆円、貸出残高が187.8兆円の規模となっている。
なお、足元の環境としては、2016年度がマイナス金利の影響により、「借換」(既存で借り入れている住宅ローンから、金利の低い他の住宅ローンに借り換えること)を資金使途とする住宅ローンが増加し、それにより新規貸出額は大幅に増加※1した一方、2017年度はその反動減により、新規貸出額は前期比マイナスとなっている(2017年度第3四半期までの累計※2)。
※1 2016年度における民間住宅ローン新規貸出額は21.2兆円と大きく増加した(2014年度は17.4兆円、2015年度は17.6兆円)。
※2 2017年度第3四半期までの民間住宅ローン新規貸出額は13.5兆円と前年同期比で減少した(2014年度第3四半期累計は12.1兆円、2015年度第3四半期累計は12.5兆円、2016年度第3四半期累計は15.6兆円)。
住宅ローン市場は、消費増税前の駆け込み需要による影響が想定されるものの、中期的にはおおむね同水準で堅調に推移する見通しである。
一方、長期的に見れば、人口及び世帯数の減少に伴って縮小することが予想されている。
ただ、同社の現状における市場シェアは、民間住宅ローン新規貸出で8.0%程度、民間住宅ローン貸出残高で7.0%程度に過ぎないことから成長余地は十分にある※。
残りのシェアについては、同社のように民間住宅ローン向けの保証業務を専業で行っている同業者は存在せず、各金融機関が自社あるいは自社グループの保証会社によって信用リスクをコントロールする業界構造となっている。
したがって、各金融機関において住宅ローンの獲得競争が激化するなかで、同社を活用することのメリットの大きさ(審査ノウハウの活用や業務の効率化など)が同社のシェア拡大を後押しする可能性は大きい。
一方、新規参入者にとっては、信用力や財務力の裏付けが必要である事業であるとともに、民間住宅ローンに関するデータや与信管理のノウハウが蓄積されてきた同社との差が大きな参入障壁となるものと考えられる。
※特に、住宅ローンの取扱いが多い銀行との取引は、ここ10年ぐらいの間に着実に増やしてきたが、シェアは依然5%程度にすぎず、今後の伸びしろは大きい。
また、与信関連費用に反映されることで、同社業績の変動要因となるデフォルト率については、失業率の動向に大きく影響を受ける。
こちらも景気後退の影響により2009年度に大きく上昇したものの、その後は景気の緩やかな回復に伴って改善傾向にある。
今後も2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて良好な雇用環境が継続するものと予想され、デフォルト率の急激な上昇は考えづらい状況と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
全国保証 (T:7164)が対象としている民間住宅ローン市場は、新設住宅着工戸数の動向に大きく影響を受ける。
2009年度から2010年度にかけてはリーマン・ショックに伴う景気後退の影響により新設住宅着工戸数及び住宅ローン市場はともに低迷したが、2009年度をボトムとして回復基調にあり、2016年度(2016年4月−2017年3月)の住宅ローン市場(民間及び公的機関)は新規貸出額が24.5兆円、貸出残高が187.8兆円の規模となっている。
なお、足元の環境としては、2016年度がマイナス金利の影響により、「借換」(既存で借り入れている住宅ローンから、金利の低い他の住宅ローンに借り換えること)を資金使途とする住宅ローンが増加し、それにより新規貸出額は大幅に増加※1した一方、2017年度はその反動減により、新規貸出額は前期比マイナスとなっている(2017年度第3四半期までの累計※2)。
※1 2016年度における民間住宅ローン新規貸出額は21.2兆円と大きく増加した(2014年度は17.4兆円、2015年度は17.6兆円)。
※2 2017年度第3四半期までの民間住宅ローン新規貸出額は13.5兆円と前年同期比で減少した(2014年度第3四半期累計は12.1兆円、2015年度第3四半期累計は12.5兆円、2016年度第3四半期累計は15.6兆円)。
住宅ローン市場は、消費増税前の駆け込み需要による影響が想定されるものの、中期的にはおおむね同水準で堅調に推移する見通しである。
一方、長期的に見れば、人口及び世帯数の減少に伴って縮小することが予想されている。
ただ、同社の現状における市場シェアは、民間住宅ローン新規貸出で8.0%程度、民間住宅ローン貸出残高で7.0%程度に過ぎないことから成長余地は十分にある※。
残りのシェアについては、同社のように民間住宅ローン向けの保証業務を専業で行っている同業者は存在せず、各金融機関が自社あるいは自社グループの保証会社によって信用リスクをコントロールする業界構造となっている。
したがって、各金融機関において住宅ローンの獲得競争が激化するなかで、同社を活用することのメリットの大きさ(審査ノウハウの活用や業務の効率化など)が同社のシェア拡大を後押しする可能性は大きい。
一方、新規参入者にとっては、信用力や財務力の裏付けが必要である事業であるとともに、民間住宅ローンに関するデータや与信管理のノウハウが蓄積されてきた同社との差が大きな参入障壁となるものと考えられる。
※特に、住宅ローンの取扱いが多い銀行との取引は、ここ10年ぐらいの間に着実に増やしてきたが、シェアは依然5%程度にすぎず、今後の伸びしろは大きい。
また、与信関連費用に反映されることで、同社業績の変動要因となるデフォルト率については、失業率の動向に大きく影響を受ける。
こちらも景気後退の影響により2009年度に大きく上昇したものの、その後は景気の緩やかな回復に伴って改善傾向にある。
今後も2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて良好な雇用環境が継続するものと予想され、デフォルト率の急激な上昇は考えづらい状況と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)