■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績についてフェイスネットワーク (TYO:3489)は、売上高で前期比23.4%増の21,000百万円、営業利益で同13.7%増の2,000百万円、経常利益で同12.4%増の1,700百万円、当期純利益で同11.2%増の1,150百万円とする期初予想を据え置いている。
開発物件大型化・高付加価値化による収益性向上と、DX推進による効率性向上により増収増益を見込んでいる。
同社では、DX推進及び人材採用・育成に積極投資していく方針であり、「セールスフォース」に対して100百万円規模のシステム投資を検討している。
今後3ヶ年では300百万円以上の投資を検討しており、継続的な成長投資が業績拡大のための基盤を強固にしていくと弊社では見ている。
なお、建築コストについては、自社施工と外部施工で若干の差はあるが、資材価格・原材料費の高騰の影響によりおおむね20~30%程度の上昇を見込んでいる。
資材価格・原材料費の高騰は同社予算に対して一定程度に抑えられており、可能な範囲で売価への転嫁を行いつつ、継続的な資材発注のコントロール等により原価抑制を講じる。
通期予想に対する進捗率は売上高で34.5%、営業利益で13.6%であるが、前年同期の売上高進捗率が19.1%、各損益は損失計上から黒字転換したこと、また、不動産業界の特性上、第4四半期に売上・利益が偏重する傾向にあることを考慮すれば、通期予想達成の可能性は高いと弊社では見ている。
加えて、足元の販売は堅調に推移しており、売上原価の高騰も同社予算の範囲内であることから、今後の販売状況の動向次第では上方修正の可能性もあると弊社では考えている。
2. 重点施策
2023年3月期の重点施策として同社は、(1) DX推進によるワンストップサービス強化、(2) 大型物件開発、高付加価値物件開発推進、(3) 新たな事業領域の模索、(4) その他、を挙げている。
(1) DX推進によるワンストップサービス強化
DX推進により業務効率化を図るとともに業務変革を促し、強固な経営基盤を構築する。
「システム投資による業務プロセスの変革」「グループ全体の最適化による生産性向上」「既存事業の変革」を推進し、将来的なビジネスモデル変革と事業領域拡大に向けた布石とする。
具体的な施策としては、統合CRMプラットフォーム「セールスフォース」の導入が挙げられる。
2023年3月期初より導入に向けた準備を進めており、2022年11月からはPhase1である「情報一元化」の運用を開始した。
「セールスフォース」の導入により、業務システムやデータベースを戦略的に発展・統合し、業務・顧客基盤の連携・可視化・共有・仕組化を図っていく。
従来は、それぞれのシステムによって仕入用土地情報・顧客情報・物件開発進捗状況・入居者情報を別個に管理していたが、業務システム・データベースを戦略的に発展・統合する。
DX推進により、従来の強みであるワンストップサービスを強化し、物件開発力の飛躍的増加と既存事業の変革を促す。
(2) 大型物件開発、高付加価値物件開発推進
国内外の機関投資家や法人需要の増加に伴い、大型物件の需要が拡大している。
こうした事業環境の変化に対応して、従来物件よりターゲットとコンセプトを明確にし、収益性の高い大型物件の開発を推進する。
物件の大型化に伴い、1棟当たりの収益率は上昇する傾向にあり、2025年3月期までに1棟当たり約10億円までの拡大を計画している。
開発物件大型化のメリットとしては、1棟当たりの売上増加のほか、販売価格の増加に対し建築費用を抑制できることから、利益率の向上や販売先の拡大が見込める。
一方、デメリットとしては、人員の確保、建設期間の長期化や土地仕入の競合の変化などがある。
足元の開発物件では、同社最大級の大型物件である「GranDuo代々木2」、駐車場にEV充電設備「Terra Charge」を設置した「GranDuo経堂15」、高低差を活かした多様性に富んだデザインが特徴の「GranDuo富ヶ谷3」などが挙げられる。
なお、2023年3月期の販売予定物件としては、不動産商品15件、建築商品24件の合計39件を予定している。
(3) 新たな事業領域の模索
キーコンセプトをサブスクリプション&シェアリングとし、新たな事業領域を模索していく。
空間を創造し提供する不動産会社として、多様な働き方やライフスタイルを実現する次世代空間商品・サービスの開発を推進する。
一例を挙げると、「美容業界の自由な働き方を叶える」をコンセプトに、サブスクリプション型シェアサロン「GrandStory SALON」を運営している。
不動産オーナーから同社がテナントを借上げ、フリーランスの美容師・ネイリストなどの顧客に対して提供する。
ユーザーからは取引契約に基づき会員使用料を受け取る一方、不動産オーナーに対しては賃貸借契約に基づく賃料を支払う。
2023年3月期は出店を加速しており、2022年4月に自由が丘店、5月に渋谷店、11月に中目黒店を開店した。
このうち、中目黒店の内覧会には独立を考えている顧客が20名超来場したことからも、注目度は高いと言える。
サブスクリプションという形態の特性上、会員数と客席数の増加が重要な指標となっており、店舗の拡大についても検討しているようだ。
現状では具体的なマーケットサイズを設定していないが、社会的課題の解決に貢献することで同社の価値を訴求する。
同事業については、今後もシェアリングと空間利用というマーケットを注視しながら模索を続ける方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
1. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績についてフェイスネットワーク (TYO:3489)は、売上高で前期比23.4%増の21,000百万円、営業利益で同13.7%増の2,000百万円、経常利益で同12.4%増の1,700百万円、当期純利益で同11.2%増の1,150百万円とする期初予想を据え置いている。
開発物件大型化・高付加価値化による収益性向上と、DX推進による効率性向上により増収増益を見込んでいる。
同社では、DX推進及び人材採用・育成に積極投資していく方針であり、「セールスフォース」に対して100百万円規模のシステム投資を検討している。
今後3ヶ年では300百万円以上の投資を検討しており、継続的な成長投資が業績拡大のための基盤を強固にしていくと弊社では見ている。
なお、建築コストについては、自社施工と外部施工で若干の差はあるが、資材価格・原材料費の高騰の影響によりおおむね20~30%程度の上昇を見込んでいる。
資材価格・原材料費の高騰は同社予算に対して一定程度に抑えられており、可能な範囲で売価への転嫁を行いつつ、継続的な資材発注のコントロール等により原価抑制を講じる。
通期予想に対する進捗率は売上高で34.5%、営業利益で13.6%であるが、前年同期の売上高進捗率が19.1%、各損益は損失計上から黒字転換したこと、また、不動産業界の特性上、第4四半期に売上・利益が偏重する傾向にあることを考慮すれば、通期予想達成の可能性は高いと弊社では見ている。
加えて、足元の販売は堅調に推移しており、売上原価の高騰も同社予算の範囲内であることから、今後の販売状況の動向次第では上方修正の可能性もあると弊社では考えている。
2. 重点施策
2023年3月期の重点施策として同社は、(1) DX推進によるワンストップサービス強化、(2) 大型物件開発、高付加価値物件開発推進、(3) 新たな事業領域の模索、(4) その他、を挙げている。
(1) DX推進によるワンストップサービス強化
DX推進により業務効率化を図るとともに業務変革を促し、強固な経営基盤を構築する。
「システム投資による業務プロセスの変革」「グループ全体の最適化による生産性向上」「既存事業の変革」を推進し、将来的なビジネスモデル変革と事業領域拡大に向けた布石とする。
具体的な施策としては、統合CRMプラットフォーム「セールスフォース」の導入が挙げられる。
2023年3月期初より導入に向けた準備を進めており、2022年11月からはPhase1である「情報一元化」の運用を開始した。
「セールスフォース」の導入により、業務システムやデータベースを戦略的に発展・統合し、業務・顧客基盤の連携・可視化・共有・仕組化を図っていく。
従来は、それぞれのシステムによって仕入用土地情報・顧客情報・物件開発進捗状況・入居者情報を別個に管理していたが、業務システム・データベースを戦略的に発展・統合する。
DX推進により、従来の強みであるワンストップサービスを強化し、物件開発力の飛躍的増加と既存事業の変革を促す。
(2) 大型物件開発、高付加価値物件開発推進
国内外の機関投資家や法人需要の増加に伴い、大型物件の需要が拡大している。
こうした事業環境の変化に対応して、従来物件よりターゲットとコンセプトを明確にし、収益性の高い大型物件の開発を推進する。
物件の大型化に伴い、1棟当たりの収益率は上昇する傾向にあり、2025年3月期までに1棟当たり約10億円までの拡大を計画している。
開発物件大型化のメリットとしては、1棟当たりの売上増加のほか、販売価格の増加に対し建築費用を抑制できることから、利益率の向上や販売先の拡大が見込める。
一方、デメリットとしては、人員の確保、建設期間の長期化や土地仕入の競合の変化などがある。
足元の開発物件では、同社最大級の大型物件である「GranDuo代々木2」、駐車場にEV充電設備「Terra Charge」を設置した「GranDuo経堂15」、高低差を活かした多様性に富んだデザインが特徴の「GranDuo富ヶ谷3」などが挙げられる。
なお、2023年3月期の販売予定物件としては、不動産商品15件、建築商品24件の合計39件を予定している。
(3) 新たな事業領域の模索
キーコンセプトをサブスクリプション&シェアリングとし、新たな事業領域を模索していく。
空間を創造し提供する不動産会社として、多様な働き方やライフスタイルを実現する次世代空間商品・サービスの開発を推進する。
一例を挙げると、「美容業界の自由な働き方を叶える」をコンセプトに、サブスクリプション型シェアサロン「GrandStory SALON」を運営している。
不動産オーナーから同社がテナントを借上げ、フリーランスの美容師・ネイリストなどの顧客に対して提供する。
ユーザーからは取引契約に基づき会員使用料を受け取る一方、不動産オーナーに対しては賃貸借契約に基づく賃料を支払う。
2023年3月期は出店を加速しており、2022年4月に自由が丘店、5月に渋谷店、11月に中目黒店を開店した。
このうち、中目黒店の内覧会には独立を考えている顧客が20名超来場したことからも、注目度は高いと言える。
サブスクリプションという形態の特性上、会員数と客席数の増加が重要な指標となっており、店舗の拡大についても検討しているようだ。
現状では具体的なマーケットサイズを設定していないが、社会的課題の解決に貢献することで同社の価値を訴求する。
同事業については、今後もシェアリングと空間利用というマーケットを注視しながら模索を続ける方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)