■成長戦略
パンチ工業 (T:6165)は2016年3月期を最終年度とする中期経営計画「バリュークリエーション15」を遂行中で、金型部品業界でのトップブランドを確立し、製販一体企業としての強みを活かした高収益企業を目指している。
基本戦略としては、「グローバル化」「新市場の開拓」「高収益事業モデルへの転換」の取り組みを進めている。
○グローバル化 グローバル化では日本、中国に加えて、東南アジアやインド、欧米市場の開拓を進めている。
欧州では販売代理店との関係強化を進めながら、中国、マレーシア子会社からの輸出が増加傾向にある。
米国に関してはまだ売上規模が小さいものの、フォードの規格認定を取得したことで、自動車向けの顧客開拓を進めていく考えだ。
一方、東南アジアではインドネシアやベトナム、シンガポール、マレーシアなどに販売拠点を開設したほか、フィリピン、タイでは販売代理店経由での販売を行っている。
また、インドに関しては今後注力する市場の1つとなる。
インド政府が2014年に「Make in India」政策を発表し、インドでの製造業の発展が見込めるようになってきたためだ。
インド向けの売上高はまだ小さいが、インド自動車大手や日系家電メーカーを中心に顧客数は増加傾向にあり、今後の成長が期待されよう。
また、生産拠点として2015年12月に、ベトナムに生産拠点を設立予定としている。
グローバル生産体制の拡充と最適化、及び今後の市場拡大が見込まれるベトナムでの需要取り込みなどを目的としたもので、2016年10月に稼働を開始し、生産規模としては数年後に10億円規模を目指している。
現状、日本で生産している標準製品などはベトナムにシフトし、国内では高付加価値製品中心のモノづくり体制に転換していく方針だ。
また、生産体制を整備することでグローバル企業を囲い込み、標準製品だけでなく特注品など供給製品を拡充していくことで、取引シェアの拡大を図っていく。
○新市場の開拓 新市場の拡大では、国内、中国においては医療機器や飲料関連、航空機分野の開拓に取り組んでいる。
このうち、医療機器は既に実績を積み上げてきており、今後は高精度が求められる領域での開拓を進めていく予定となっている。
飲料関連の金型用部品では、2011年頃から開発に取り組み始め、2014年に少量ながら受注実績が出始めており、現在は量産体制構築の検討段階に入っている。
また、航空機分野では世界標準の品質マネジメントシステムであるAS9100認証を、中国子会社で2015年に取得した。
ただ、同領域は非常に高い安全性と信頼性などが要求されるため、金型用部品については、航空機メーカーのグループ企業で内製化しているケースがほとんどとみられ参入障壁は高い。
とはいえ、中型機クラスの民間航空機の需要が拡大傾向にあるなかで、コスト低減が可能な部分については、同社のような外部企業に発注するケースも今後増えてくるものと予想される。
このため、航空宇宙分野に関しては5〜10年の長期的スパンで事業化を見据えた取り組みを行っていく方針となっている。
その他、3Dメタルプリンタを利用した金属光造形複合加工品の開発も進めており、事業モデルの最適化等も含めた検討を行っている。
○高収益事業モデルへの転換 同社は、高収益事業モデルへの転換を日本、及び中国で進めている。
国内では研究開発体制の強化により、付加価値の高い製品の比率を高め、ローエンド品は海外に移管していく。
また、中国では沿岸部での人件費高騰などにより、製造業の生産拠点が内陸部にシフトする傾向にあり、同社でもこうした需要を確実に取り込むため、生産・物流のコア拠点である重慶など内陸部での生産拡充を進め、沿岸部の拠点については戦略製品の生産増強により、高収益体質の構築を進めていく方針だ。
○次期中期経営計画について 同社では2017年3月期からスタートする次期中期経営計画について年内に策定作業を進め、早ければ第3四半期の決算発表(2016年2月上旬予定)と同時期の発表を目指している。
次期中期経営計画に関しては、2020年が東京オリンピック開催年でもあることから、5ヶ年計画とする意向。
基本戦略については現中期経営計画を踏襲しながら、その戦略をさらに深化していくものになると予想される。
営業利益率としては高収益モデルへの転換を推進していくことから、更なる上昇が見込まれ、ROEに関しても10%以上(2015年3月期10.1%)が目標となってこよう。
世界の金型用部品の市場規模は約5,000億円であり、現状の同社の市場シェアは7%程度となっている。
精密金型用部品に絞ったシェアで見ればもう少し高くなるが、それでも同社が開拓できる領域はまだ多く残されており、成長ポテンシャルは大きいと言える。
特注品と標準製品の両方の顧客ニーズに対応できる開発力やサポート力を強みに、新規顧客企業の開拓や既存顧客での取引シェア拡大を進めていくことで、更なる業績成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
基本戦略としては、「グローバル化」「新市場の開拓」「高収益事業モデルへの転換」の取り組みを進めている。
○グローバル化 グローバル化では日本、中国に加えて、東南アジアやインド、欧米市場の開拓を進めている。
欧州では販売代理店との関係強化を進めながら、中国、マレーシア子会社からの輸出が増加傾向にある。
米国に関してはまだ売上規模が小さいものの、フォードの規格認定を取得したことで、自動車向けの顧客開拓を進めていく考えだ。
一方、東南アジアではインドネシアやベトナム、シンガポール、マレーシアなどに販売拠点を開設したほか、フィリピン、タイでは販売代理店経由での販売を行っている。
また、インドに関しては今後注力する市場の1つとなる。
インド政府が2014年に「Make in India」政策を発表し、インドでの製造業の発展が見込めるようになってきたためだ。
インド向けの売上高はまだ小さいが、インド自動車大手や日系家電メーカーを中心に顧客数は増加傾向にあり、今後の成長が期待されよう。
また、生産拠点として2015年12月に、ベトナムに生産拠点を設立予定としている。
グローバル生産体制の拡充と最適化、及び今後の市場拡大が見込まれるベトナムでの需要取り込みなどを目的としたもので、2016年10月に稼働を開始し、生産規模としては数年後に10億円規模を目指している。
現状、日本で生産している標準製品などはベトナムにシフトし、国内では高付加価値製品中心のモノづくり体制に転換していく方針だ。
また、生産体制を整備することでグローバル企業を囲い込み、標準製品だけでなく特注品など供給製品を拡充していくことで、取引シェアの拡大を図っていく。
○新市場の開拓 新市場の拡大では、国内、中国においては医療機器や飲料関連、航空機分野の開拓に取り組んでいる。
このうち、医療機器は既に実績を積み上げてきており、今後は高精度が求められる領域での開拓を進めていく予定となっている。
飲料関連の金型用部品では、2011年頃から開発に取り組み始め、2014年に少量ながら受注実績が出始めており、現在は量産体制構築の検討段階に入っている。
また、航空機分野では世界標準の品質マネジメントシステムであるAS9100認証を、中国子会社で2015年に取得した。
ただ、同領域は非常に高い安全性と信頼性などが要求されるため、金型用部品については、航空機メーカーのグループ企業で内製化しているケースがほとんどとみられ参入障壁は高い。
とはいえ、中型機クラスの民間航空機の需要が拡大傾向にあるなかで、コスト低減が可能な部分については、同社のような外部企業に発注するケースも今後増えてくるものと予想される。
このため、航空宇宙分野に関しては5〜10年の長期的スパンで事業化を見据えた取り組みを行っていく方針となっている。
その他、3Dメタルプリンタを利用した金属光造形複合加工品の開発も進めており、事業モデルの最適化等も含めた検討を行っている。
○高収益事業モデルへの転換 同社は、高収益事業モデルへの転換を日本、及び中国で進めている。
国内では研究開発体制の強化により、付加価値の高い製品の比率を高め、ローエンド品は海外に移管していく。
また、中国では沿岸部での人件費高騰などにより、製造業の生産拠点が内陸部にシフトする傾向にあり、同社でもこうした需要を確実に取り込むため、生産・物流のコア拠点である重慶など内陸部での生産拡充を進め、沿岸部の拠点については戦略製品の生産増強により、高収益体質の構築を進めていく方針だ。
○次期中期経営計画について 同社では2017年3月期からスタートする次期中期経営計画について年内に策定作業を進め、早ければ第3四半期の決算発表(2016年2月上旬予定)と同時期の発表を目指している。
次期中期経営計画に関しては、2020年が東京オリンピック開催年でもあることから、5ヶ年計画とする意向。
基本戦略については現中期経営計画を踏襲しながら、その戦略をさらに深化していくものになると予想される。
営業利益率としては高収益モデルへの転換を推進していくことから、更なる上昇が見込まれ、ROEに関しても10%以上(2015年3月期10.1%)が目標となってこよう。
世界の金型用部品の市場規模は約5,000億円であり、現状の同社の市場シェアは7%程度となっている。
精密金型用部品に絞ったシェアで見ればもう少し高くなるが、それでも同社が開拓できる領域はまだ多く残されており、成長ポテンシャルは大きいと言える。
特注品と標準製品の両方の顧客ニーズに対応できる開発力やサポート力を強みに、新規顧客企業の開拓や既存顧客での取引シェア拡大を進めていくことで、更なる業績成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)