〇売り圧力一巡し、NYダウ最高値更新〇
13日のNY市場は商いが細りながら(合計出来高約64億株、過去20営業日平均68億株)、上げ2.39対下げ1(ナスダックは1.89対1)と広範囲の銘柄が上昇し、ダウとS&P500が最高値を更新した。
NYダウは+0.44%、朝方不安定だったナスダックは+0.73%。
電気通信サービスを除いてほぼ全面高。
ハイテク株が買われると売られやすかった金融+0.44%、エネルギー+0.66%、FOMC直前で債券相場は大きくは動かず、ドル相場はやや軟調だった(カナダドルが上昇)が、公益株+0.16%など。
株価上昇に批判的な見方の一つの要因は、トランプ政権の行方に見方が分かれていることだが、注目のセッションズ司法長官の議会証言では、「ロシアと共謀して大統領選に干渉した疑惑」について、「忌まわしい嘘」と強い調子で否定したことが追い風になったと考えられる。
モラー特別検察官解任の憶測も、権限を持つ司法省副長官が否定した。
ニュース一つでひっくり返る可能性があるので、安心感とまでは言えないが、メディアの先走り報道にも釘が刺される可能性がある。
トランプ政策が打ち出されても、直ぐに暗礁に乗り上げ、何処まで実行されるのか不透明な状況だが、ここに来て再び矢継ぎ早の方針打ち出しになりつつあることも追い風材料となっている公算がある。
12日は米財務省が金融規制を大幅に見直す内容を盛り込んだ報告書を公表(100以上の項目が並べられ、何処まで実行されるかは不透明)、ホワイトハウスで「初閣議」が開催され、「鉄鋼とアルミニウムの大量輸入が国内産業に多大な被害を与えている」とし近く具体策を発表すると表明(反ダンピング課税などが想定されている)、「国内製造業の成長の妨げとなる規制を緩和する」計画も明らかにする意向(環境許可や労使関連規則など)だ。
準備された大統領令は約40項目が出されたが、まだ160項目ほどあるとされる。
ティラーソン国務長官は上院公聴会で、対北朝鮮二次制裁を検討していると表明(ロシア企業に続いて中国企業の制裁が含まれると見られている)、対ロ関係是正、外交・海外援助予算大幅削減に理解を求めた。
表面上、沈静化している北朝鮮情勢だが、経済制裁の強化が進められているようだ。
大雑把なイメージとして、減税策などの議会審議・承認が夏前決着から年内決着に大幅にズレ込んで、トランプ政策への失望が広がったが、膨張・硬直したワシントンの枠組み、世界経済の構造を変革すると言う大きな期待感までは消滅していない様だ。
FOMC結果発表の直前で金融攻防が止まったため、余計に目に付いた感があるが、議会の夏休み入りを前に何処まで具体化できるか焦点になろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/14号)