[シンガポール/シドニー 27日 ロイター] - シンガポール航空 (SI:SIAL)は、新型コロナウイルス危機への対応と危機脱却後の事業拡大に向け、最大190億シンガポールドル(130億米ドル)の資金調達手段を確保したと発表した。
新型ウイルスの感染拡大を受けた需要の落ち込みで世界の航空各社が運航停止や従業員の一時帰休などを余儀なくされて以降、航空会社が発表した1社の資金調達パッケージとしては最大規模となる。
主要株主であるシンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングス (TEM.UL)が、最大150億シンガポールドルの株式と転換社債を引き受けるほか、国内銀行大手DBSグループ・ホールディングス (SI:DBSM)が40億シンガポールドルの融資を提供する。
テマセク傘下のテマセク・インターナショナルのサンドラセガラ最高経営責任者(CEO)は「この取引は、シンガポール航空を短期的な流動性問題から救うだけでなく、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)終息後の成長軌道に乗せるだろう」とコメント。「今後数年に納入される次世代航空機は、より高い燃費効率を備え、同社の輸送能力拡大戦略に対応するだろう」との見解を示した。
独立系航空アナリスト、ブレンダン・ソビエ氏は、信用枠供与や航空機の売却・リースバックなど通常の資金調達契約では大方の航空会社はこの危機を乗り切り、その後に成長することはできないと指摘。
「航空会社が民間から資金を調達する場合、シンガポール航空がテマセクから得たような条件は得られないだろう」とし、「おそらく売り上げが事実上全く発生しないときに月間のリース料を賄える程度で、その後の資本コストは非常に高く、できることが限られる」と語った。
航空調査会社シリウムによると、世界の航空機の3分の1近くが格納庫に入っている。
また国際空港評議会(ACI)アジア太平洋支部によると、同地域の主要12空港の交通量は3月2週目に前年同期比で平均80%落ち込んだ。