[パリ 6日 ロイター] - フランスのルメール経済・財務相は6日、欧州連合(EU)諸国が検討している新型コロナウイルス危機への対応について、各国が共同で資金を借り入れ、長期の景気支援を行う基金の創設を盛り込むべきとの考えを示した。
EU首脳は先月のテレビ会議で新型コロナの経済対策を協議したが、共同での借り入れを巡る意見の対立が解消できなかったため、財務相らに具体案の提示を要請していた。[nL4N2BJ5RL]
ユーロ圏の財務相らは7日、欧州安定メカニズム(ESM)の救済基金と欧州投資基金、欧州委員会の短期スキームを活用した3つの景気支援策を1本化する見通しだ。
ルメール氏は6日、ユーロ圏財務相との会合を前に記者団に対し「3つの案を巡り合意が形成されつつあるが、それでは不十分だ」と語った。
同氏は先に、各国が共同で借り入れた「数百億ユーロ」相当の基金の創設を提案していた。この資金は景気支援のための政府支出に充てるという。
オーストリア、デンマーク、フィンランド、オランダなど北欧諸国は、財政規律の緩い南欧諸国の債務を押し付けられる恐れがあるとして共同での借り入れ案を拒否している。
ルメール氏はこれに対し、基金の運用期間を5─10年に限り、資金の用途を景気支援に限定することで、反対派の合意を取り付けたい考えだ。
同氏は、基金の資金は、病院への公的支出のほか、エアバス (PA:AIR)をはじめとする航空宇宙や自動車など景気減速の打撃が深刻な産業への支援に充当できると説明。
基金は、特別目的会社(SPV)の形態をとり、各国は危機による被害額に応じて資金支援を要請できる。基金への拠出額は各国の経済規模に基づいて決まるという。この場合、新型コロナ感染拡大の影響が深刻なイタリアは拠出額を上回る資金を受け取ることになる。