[ワシントン/ウィルミントン(米デラウェア州) 9日 ロイター] - 米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は9日、新型コロナウイルスの対策本部(タスクフォース)を立ち上げた。1月の就任を前に、米国が直面する危機への対応策を検討する。
対策本部は、ビベック・マーシー前公衆衛生局長官、デービッド・ケスラー元食品医薬局(FDA)長官などが共同議長を務める。バイデン氏は同日、メンバーらと会合を開いた。
バイデン氏は声明で「コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対処は、新政権が直面する最も重要な闘いの一つであり、私は科学と専門家から情報を得るつもりだ」と表明した。
また、記者団に対し「今後数カ月間、全員がマスクを着用するだけで何万人もの命が救える。民主党員や共和党員に限らず、米国民の命を救うということだ」とした上で「お願いだから、自分のために、そして周りの人のためにマスクを着用してほしい」と訴えた。
対策本部には、新型コロナ治療薬開発に携わる米厚生省の生物医学先端研究開発局(BARDA)で局長を務め、トランプ政権の対応に懸念を表明して解任されたリック・ブライト氏なども入った。
バイデン氏は、迅速なコロナ検査を広く利用可能にし、感染を抑制・追跡するための部署を立ち上げるほか、脆弱な集団を優先することに注力すると表明。また、承認されたワクチンを「できるだけ早く、できるだけ多くの国民に無料で配布」できるよう努力するとした。
新型コロナワクチンを巡っては、米製薬大手ファイザー (N:PFE)がこの日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテック (O:BNTX)と共同開発するワクチンの臨床試験(治験)で感染を防ぐ有効率が90%以上に達したと発表した。
バイデン氏はこれについて「素晴らしいニュース」だとしながらも「米国で広くワクチンが接種されるまで何カ月もかかるだろう」と指摘。「安全で有効なワクチンに取り組んではいるが、感染防止に最も効果的な方法はマスクを着用することだ」と述べ、マスク着用の重要性を強調した。
*内容を追加しました。