[ワシントン 1日 ロイター] - 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は1日、米国で新型コロナウイルス対策のロックダウン(封鎖措置)を再び実施することはない見通しだが、ワクチン未接種者を中心にデルタ型変異株の感染者が急増しているため、「状況は悪化するだろう」との見方を示した。
同氏はABCの番組で、国内のワクチン接種率について「ウイルス流行を抑え込むのには十分ではないが、昨冬のような状況を避けるには十分」と述べて、ロックダウンを回避できるとの見方を示した。
ロイターが算出したところ、全米のコロナ新規感染者の7日間平均は過去10日間で2倍近くに増えている。
各州がロックダウンの再実施を見送ったとしても、デルタ変異株の感染拡大は米景気回復の足かせとなる可能性がある。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はCBSの番組で、デルタ変異株の流行により数百万人に上る失業者の慎重姿勢が強まっており、米労働市場の回復を遅らせる可能性があるとの見解を示した。
ワクチンが不足している多くの諸外国とは異なり、米国では12歳以上ならば誰でも無料でワクチンが接種でき、当局は現金や新車などの特典を付与して接種を奨励している。にもかかわらず、人口の3分の1以上がなお接種を拒否している。
ファウチ氏は「国内には接種の資格があるのに接種を受けていない人が1億人もいる」と強調した。
少なくとも1回のワクチン接種を受けた人口の割合は、約58%となっている。
ただ、新たなワクチン接種者は足元で再び増え始めている。米国立衛生研究所(NIH)のコリンズ所長は、CNNの番組で「これは人々が(ワクチンの重要性に)気づきつつあるという明るい兆しで、これまでためらっていた人々にとって転換点になるかもしれない」と述べた。