[ニューヨーク 18日 ロイター] - 2001年9月11日の米同時多発攻撃を被害者の視点で伝えてきたニューヨーク市の「9/11追悼博物館」が閉鎖された。共同設立者が18日に発表した。
16年間にわたり運営してきた同博物館の入場者数は、20年に新型コロナウイルス流行で一時閉鎖されるまで年間約30万人だったが、21年は過去最低の2万6000人に減少した。
共同創設者で非営利団体「9月11日家族会」のジェニファー・アダムスウェブ氏は「来館者が戻ってこない」と話し、運営を続けるには公的支援が必要で、市当局などと話し合ってきたが実現しなかったという。
この博物館と世界貿易センター跡地にある「9.11メモリアル・アンド・ミュージアム」の主な違いは、直接被害を受けた人々の生の声に焦点を当てた点とされ、世界貿易センターで当時勤務し、飛行機衝突後に脱出した人などがツアーリーダーを務めていた。
同館では今後もオンライン教育資料の提供やコミュニティー支援を続ける予定だが、06年の開館以来50万人以上が参加したガイド付きツアーは中止する。
展示されていた遺品は、ニューヨーク州立博物館に移されるという。