40%引きでご購読
新規!💥 ProPicksを手に入れ、S&P 500を1,183%を超える投資成績を実現した、戦略をご覧ください40%割引で開始

アングル:コロナで豪ネットギャンブル大盛況、損失は世界最大

発行済 2022-10-02 07:38
更新済 2022-10-02 07:46
© Reuters.  オーストラリアは国民1人当たりのギャンブルによる損失額が世界最大だが、パンデミックでギャンブル施設が閉鎖を余儀なくされたため業界に変化が生じ、従来よりも規制が難しいオン

[シドニー 29日 ロイター] - コーヒー業界の技術者でオーストラリアのシドニーに住むリース・ウェアハムさん(31)は、2020年に新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が始まると自宅にこもっただけでなく、毎日午後にパブを訪れてポーカーマシンで遊ぶこともやめてしまった。その代わりにはまったのがスマートフォンのギャンブルアプリで、どこにいようとお気に入りのスポーツである野球に賭けている。

「ギャンブルはやめられない」と話すウェアハムさん。幼い子どもがおり、8年前に自己破産する原因となった3万豪ドル(1万9968米ドル、約288万円)のギャンブルの負債は3分の2を返済した。「午後はパブで何百ドルも散財していたけれど、今はスポーツの賭けアプリにカネを注ぎ込んでいる」という。

オーストラリアは国民1人当たりのギャンブルによる損失額が世界最大だが、パンデミックでギャンブル施設が閉鎖を余儀なくされたため業界に変化が生じ、従来よりも規制が難しいオンラインギャンブルで遊ぶプレーヤーが増えている。

ギャンブルアプリを提供している企業は、オーストラリアで最も人気の高い賭けアプリ「スポーツベット」を展開する英フラッター・エンターテインメントなど、ほとんどが外資系。ギャンブル施設と異なり、規制の対象外であるテキストメッセージを使った販促活動といったマーケティング手法が追い風になっている。

モナシュ大学公衆衛生・予防医学部のデータによると、2021年のポーカーマシンのプレーヤーの損失は114億豪ドルで、ロックダウン開始前の19年比で11億豪ドル、17%減った。

しかしオンライン・スポーツ・ギャンブルのプレーヤーの損失は同じ期間に32億豪ドル、80%増えて71億豪ドルとなったことが、業界コンサルタント会社H2ギャンブリング・キャピタルのデータから分かる。これは販促でよく配布されるクレジットを除いた数字だ。

H2によると、全世界でみるとオンライン・スポーツ・ギャンブルにおけるプレーヤーの損失は58%増加。オーストラリアは人口が3倍近い英国を抜き、米国、日本に次ぐ3位に入った。

H2のシニアコンサルタント、エド・バーキン氏は「オンラインのギャンブル事業者は実施設で遊んでいたはずの顧客を奪い合っている」と話した。「厳しいロックダウンも、オーストラリアがオンラインギャンブルの拡大で上位にランクインする原動力となった」という。オーストラリアでは昨年10月まで移動制限が敷かれていた。

<世界規模の課題>

ギャンブル業界は数十年にわたり規制が緩和された。その後、年間250億豪ドル、1人当たり1000豪ドルと米国の2倍以上のお金を吸い上げるギャンブル業界を巡り国民の関心は高まっているが、政府は税収や業界のロビー活動を考慮して軌道修正に慎重だ。

中道左派の新政府は今月、オンラインギャンブルについて議会で調査を行うと発表したが、2015年に行われた調査の勧告の幾つかがまだ実施されていない。

前回の調査後、州政府と連邦政府は2020年5月までに、ギャンブルアプリのプレーヤーが自己申告によって利用を制限する登録制度を構築することで合意した。しかしオーストラリア通信メディア庁によると、登録はかなり進んではいるが、まだ運用に至っていない。

<まるで米国の銃のよう>

ロックダウンは社会性の面でさまざまな形態の悪を生み出し、ギャンブルは「社会的に孤立したり、退屈している」若い男性の間で魅力が高まったと、オーストラリアギャンブル研究センターのエグゼクティブマネージャー、レベッカ・ジェンキンソンは指摘する。

「指先ひとつで、24時間いつでも、オンラインを通じてギャンブルにアクセスできる。ギャンブルが身近にあり、盛んに宣伝されているからこそ、手を染める」

もっともオーストラリアではポーカーマシンが非常に根付いており、オンラインギャンブルがすぐに主役に躍り出ることはないと専門家はみている。国内には約20万台のポーカーマシンがあり、ギャンブル施設は通常通りの営業に戻っている。

ギャンブル依存症患者を支援する非営利団体ウェズリー・ミッションは政策提言の中で、「米国に銃があるようにオーストラリアにはポーカーマシンがある」と指摘。「これは国の恥だ。私たちの多くは、ポーカーマシンが自分たちの知人や愛する人に害を及ぼしていることに気づいていない」

© Reuters.  オーストラリアは国民1人当たりのギャンブルによる損失額が世界最大だが、パンデミックでギャンブル施設が閉鎖を余儀なくされたため業界に変化が生じ、従来よりも規制が難しいオンラインギャンブルで遊ぶプレーヤーが増えている。9月19日、シドニーのパブでポーカーマシンに興じる人(2022年 ロイター/Loren Elliott)

ウェアハムさんはもうポーカーマシンで遊んでいない。家族への責任がオンラインギャンブルを控えるのに役立っているという。少なくとも給料を全額、一度につぎ込むことはなくなった。

「25歳にもなって何百万ドルも手に入ると思っている人にこう言いたい。そんなことはありえない。何百万ドルも失うことになる、と」

(Byron Kaye記者、Praveen Menon記者)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます