[ワシントン 5日 ロイター] - 世界銀行は5日発表したリポートで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やウクライナ戦争に伴う衝撃により、2030年までに世界の極貧状態を根絶する目標は達成できないとの見通しを示した。
リポートは、コロナ禍で過去数十年にわたって減少してきた貧困が増加に転じ、歴史的転換点となったと指摘。20年の極貧人口は7100万人増加したと指摘した。
世界人口の約9.3%に当たる7億1900万人が1日わずか2.15ドルで生活していることになり、現在進行中の戦争や中国経済成長の鈍化、食品とエネルギー価格の上昇で、貧困抑制努力が一段と疎外される恐れがあるという。
今後大幅な成長がなければ、アフリカを中心に世界人口の約7%に当たる5億7400万人が30年までに同じ生活水準にとどまると、リポートは指摘した。
マルパス総裁は、このリポートは数千万人の将来の見通しが暗いことを示しているとし、成長政策に大きく転換して貧困撲滅の取り組み再開につなげるよう求めた。
総裁は声明で「極貧抑制努力は、世界経済成長の低迷とともに基本的に進展が止まっている」と指摘。極貧増加の原因はインフレ、通貨安、より広範囲の危機だと分析した。