■決算動向
2. 2018年3月期の業績予想
2018年3月期の業績予想についてサン電子 (T:6736)は、期初予想を大幅に減額修正した。
修正後の業績予想として、売上高を前期比2.8%減の24,000百万円(修正幅は-2,000百万円)、営業損失を1,500百万円(前期は141百万円の利益、修正幅は-1,700百万円)、経常損失を1,700百万円(前期は221百万円の損失、修正幅は-1,600百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失を1,200百万円(前期は581百万円の損失、修正幅は-1,000百万円)を見込んでいる。
したがって、期初の増収増益予想から一転して、減収減益予想となり、2期連続で最終損失(損失幅の拡大)を計上する見通しとなった。
売上高は、好調に推移しているDIが年間を通じて伸長するものの、それ以外は前期比で縮小する想定となっている。
期初予想から減額修正(-2,000百万円)した内訳とその理由は、1)MLCが-1,000百万円(Diagnostics及びMD等の新製品・サービスの販売不振)、2)VRが-200百万円(VRゲームの販売時期の変更)、3)ARが-700百万円(AR業務支援ソリューションの販売時期の変更)、4)M2Mが-500百万円(製品リリースの遅れやIoTソリューションの販売不振)となっている。
一方、エンターテインメントは、売上高予想のみ500百万円の増額修正(遊技機部品の販売の前倒し)となっている。
一方、利益面では、すべてが前期比で減益となる想定である。
特に、先行費用が拡大しているモバイルデータソリューションとVR及びAR関連の減益幅が大きい。
また、期初予想から減額修正(-1,700百万円)した内訳とその理由は、1)MLCが-620百万円(売上高の下振れ及び想定外の費用発生※)、2)VRが-130百万円(売上高の下振れと同様)、3)ARが-500百万円(売上高の下振れと同様)、4)M2Mが-150百万円(売上高の下振れと同様)、5)エンターテインメントが-290百万円(利益率の高いホールシステムの下振れ)となっている。
※ブランディング構築費用や不正アクセス対応費用等の支出
したがって、大局的に捉えれば、MLCの大幅な下振れと新規事業の進捗の遅れが減額修正を招いたと言える。
弊社では、新規事業(VRゲームコンテンツ及びAR関連)については、立ち上がりが肝心であることから、最後の詰め(作り込みの精度向上)に十分な時間をかける判断はやむを得ないものと考えている。
もちろん、開発の長期化に伴う追加的な費用の影響は気になるものの、今後の成長ドライバーをしっかりと立ち上げ、これまでの研究開発費を大きく上回る業績貢献を期待すべきだろう。
一方、転換期を迎えているMLCの下振れについては、今後の成長性を判断するうえでやや不安材料となった。
これまでの成長を支えてきた転送サービスが代替サービス(クラウド型のデータ移行サービス)台頭により減退傾向にあるなかで、いかに機能強化により差別化を図っていくのか、さらには故障診断サービス等により新たな需要を開拓していくのか、回復に向けた道筋に注目している。
もっとも、米ドルベースのインボイス※で見ると、前年同期比79.1%増と積み上がっていることから、今後は徐々に回復に向かうものと考えられる。
※貿易取引において、売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類(送り状)のこと。
長期にわたる契約も含まれており、受注高を示す指標となる。
3. 来期業績の考え方
弊社では、来期業績について、欧州を中心に需要が拡大しているDIが引き続き好調に推移することに加えて、新規事業(VR及びAR関連)のリリースやMLCの回復がプラス材料になるとの見方をしている。
また、損益面でも、一定水準の研究開発費は維持されるものの、増収効果や新規事業に対する研究開発費の一巡により、大幅な損益改善(黒字転換)が可能であるとみている。
もちろん、新規事業についてはリリースの時期や立ち上がりのスピードによって来期業績への貢献度が大きく変動することや、モバイルデータソリューションについても、これまで同様、為替の影響を受けることには注意が必要である。
一方、懸念材料としては、厳しい経営環境に置かれているパチンコ・パチスロ業界の影響※により、エンターテインメント関連が大きく落ち込むリスクである。
したがって、来期については、業績の回復には期待が持てるものの、業績の伸びという点については、まだ慎重にみておく必要があると考えている。
※2018年2月に施行される新しい規制(出玉制限など)の影響により、来年のパチンコ・パチスロ業界(ホール及び遊技機関連メーカー等)を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増すものとみられている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
2. 2018年3月期の業績予想
2018年3月期の業績予想についてサン電子 (T:6736)は、期初予想を大幅に減額修正した。
修正後の業績予想として、売上高を前期比2.8%減の24,000百万円(修正幅は-2,000百万円)、営業損失を1,500百万円(前期は141百万円の利益、修正幅は-1,700百万円)、経常損失を1,700百万円(前期は221百万円の損失、修正幅は-1,600百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失を1,200百万円(前期は581百万円の損失、修正幅は-1,000百万円)を見込んでいる。
したがって、期初の増収増益予想から一転して、減収減益予想となり、2期連続で最終損失(損失幅の拡大)を計上する見通しとなった。
売上高は、好調に推移しているDIが年間を通じて伸長するものの、それ以外は前期比で縮小する想定となっている。
期初予想から減額修正(-2,000百万円)した内訳とその理由は、1)MLCが-1,000百万円(Diagnostics及びMD等の新製品・サービスの販売不振)、2)VRが-200百万円(VRゲームの販売時期の変更)、3)ARが-700百万円(AR業務支援ソリューションの販売時期の変更)、4)M2Mが-500百万円(製品リリースの遅れやIoTソリューションの販売不振)となっている。
一方、エンターテインメントは、売上高予想のみ500百万円の増額修正(遊技機部品の販売の前倒し)となっている。
一方、利益面では、すべてが前期比で減益となる想定である。
特に、先行費用が拡大しているモバイルデータソリューションとVR及びAR関連の減益幅が大きい。
また、期初予想から減額修正(-1,700百万円)した内訳とその理由は、1)MLCが-620百万円(売上高の下振れ及び想定外の費用発生※)、2)VRが-130百万円(売上高の下振れと同様)、3)ARが-500百万円(売上高の下振れと同様)、4)M2Mが-150百万円(売上高の下振れと同様)、5)エンターテインメントが-290百万円(利益率の高いホールシステムの下振れ)となっている。
※ブランディング構築費用や不正アクセス対応費用等の支出
したがって、大局的に捉えれば、MLCの大幅な下振れと新規事業の進捗の遅れが減額修正を招いたと言える。
弊社では、新規事業(VRゲームコンテンツ及びAR関連)については、立ち上がりが肝心であることから、最後の詰め(作り込みの精度向上)に十分な時間をかける判断はやむを得ないものと考えている。
もちろん、開発の長期化に伴う追加的な費用の影響は気になるものの、今後の成長ドライバーをしっかりと立ち上げ、これまでの研究開発費を大きく上回る業績貢献を期待すべきだろう。
一方、転換期を迎えているMLCの下振れについては、今後の成長性を判断するうえでやや不安材料となった。
これまでの成長を支えてきた転送サービスが代替サービス(クラウド型のデータ移行サービス)台頭により減退傾向にあるなかで、いかに機能強化により差別化を図っていくのか、さらには故障診断サービス等により新たな需要を開拓していくのか、回復に向けた道筋に注目している。
もっとも、米ドルベースのインボイス※で見ると、前年同期比79.1%増と積み上がっていることから、今後は徐々に回復に向かうものと考えられる。
※貿易取引において、売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類(送り状)のこと。
長期にわたる契約も含まれており、受注高を示す指標となる。
3. 来期業績の考え方
弊社では、来期業績について、欧州を中心に需要が拡大しているDIが引き続き好調に推移することに加えて、新規事業(VR及びAR関連)のリリースやMLCの回復がプラス材料になるとの見方をしている。
また、損益面でも、一定水準の研究開発費は維持されるものの、増収効果や新規事業に対する研究開発費の一巡により、大幅な損益改善(黒字転換)が可能であるとみている。
もちろん、新規事業についてはリリースの時期や立ち上がりのスピードによって来期業績への貢献度が大きく変動することや、モバイルデータソリューションについても、これまで同様、為替の影響を受けることには注意が必要である。
一方、懸念材料としては、厳しい経営環境に置かれているパチンコ・パチスロ業界の影響※により、エンターテインメント関連が大きく落ち込むリスクである。
したがって、来期については、業績の回復には期待が持てるものの、業績の伸びという点については、まだ慎重にみておく必要があると考えている。
※2018年2月に施行される新しい規制(出玉制限など)の影響により、来年のパチンコ・パチスロ業界(ホール及び遊技機関連メーカー等)を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増すものとみられている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)