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すぐ始めたい人のための「先物取引入門」(11)リスク管理面で適切な投資額は?(高井ひろえ)

発行済 2018-08-27 11:30
更新済 2018-08-27 11:40
すぐ始めたい人のための「先物取引入門」(11)リスク管理面で適切な投資額は?(高井ひろえ)
みなさんこんにちは!フィスコ マーケットレポーターの高井ひろえです。
今回は、前回に引き続き『リスク管理』についてお伝えします。
リスク管理の観点からは、投資額が一定である場合、ATRの大きい銘柄のポジションは少な目に、ATRの小さい銘柄のポジションは大目にとることにより、投資リスクを調整することになります。
ATRは価格の変動額を示す目安で、AVERAGE TRUE RANGEの略です。
“TRUE RANGE”は“本当の値幅”の意味で、1日の最大の値幅を過去の一定期間さかのぼって平均値を算出したものがATRです。
このATRを活用して、それぞれの銘柄にいくら資金を投じるのが合理的かを計算で求めてみましょう。


■ユニットという考え方
みなさんは「ATR」という考え方によって、それぞれの銘柄の値動きの大きさ、つまりリスクの大きさを把握できるようになりました。
それでは、1回の取引で、どれくらいの資金をリスクにさらしてもよいのでしょうか。


ここで参考にするのは「ユニット」という考え方です。
ユニットは“単位”を意味します。
ここでは、米国のプロトレーダー集団“タートルズ”が使っていた売買における適切なユニットの概念を紹介します。
タートルズは、「1回あたりの取引量は、1回の取引で取ってもよいリスクの量」とし、それを1ユニットと決めていました。
そして、「1回の取引で取ってもよいリスクの量」の基本となるのは、1日あたり投資資金の1%としていました。
つまり300万円を投資資金とした場合、1日にリスクにさらしてもよいのは300万円×1%=3万円ということになりますね。


さて、ここでもう1度ATRについて考えてみましょう。
ATRは銘柄ごとに異なります。
つまり、取引商品(銘柄)によってリスクが異なるので、取引できる量も銘柄によって異なるという理屈です。
タートルズの考えによると、1ユニットの計算の仕方は次のようになります。


(1)投資資金の1%は? 300万円×1%=3万円
(2)ある銘柄を取引した時の1日のリスクは? 取引単位×ATR
(3)求めるべきユニット数は? (1)÷(2)

それでは、(1)~(3)を踏まえて、金先物とドルの具体的なユニット数を計算してみましょう。


■金先物
まずは金先物から計算していきましょう。

(2)1日のリスク:1000グラム×33.4円(1グラムあたり)=33,400円
(3)ユニット数:3万円÷33,400円=約0.89
ここで、0.89となったので、ユニット数が1以下であるため建玉できないことがわかりました。
それではどうすればよいのでしょうか。
ここで考えるのが、「金ミニ取引」です。


金ミニ取引の証拠金額は6.600円。
取引単位は100グラムです。
金ミニ先物取引の取引単位は、通常の金先物取引の10分の1でしたよね。
改めて計算してみましょう。


(2)1日のリスク:100グラム×33.4円(1グラムあたり)=3,340円
(3)ユニット数:3万円÷3,340円=約8.98
端数は切り捨て、1ユニットは8枚ということになります。
つまり、1回の取引で扱ってよい取扱量は8枚ということになりますね。


■米ドル
次に米ドルも計算してみましょう。

(2)Bに相当する額:1万ドル×0.7円=7,000円
(3)ユニット数:3万円÷7,000円=約4.28
端数は切り捨てますので、1ユニットは4枚ということになります。
つまり、1回の取引で扱ってよい取扱量は4枚ということになりますね。


■一体どれだけ取引をするのか
これまでの計算で、金と米ドルに関しては「1回の取引で扱ってよい」取引量がわかったことになります。
ここで重要なのは、ユニットはあくまでも1回の取引で扱ってよい取引の量であって、それ以上に建玉を増やしてはいけないということではない、ということです。
では、全体でどれだけのユニットならば持ってもよいのでしょうか。
それは、“リスク分散”の考え方が関係してきます。
こちらについては、またの機会にご紹介をさせていただきます。


■終わりに
今回のコラムでは、1回の取引にあたり、どれくらいの資金をリスクにさらしてもよいかを理解することができたかと思います。
投資の格言には、「勝つことよりも負けないことが大事」というものがあります。
この格言が意味するのは、利益を上げることも大切ですが、第一に、資金を失って相場から退場となってしまうことを避けようということです。
投資を始める際の基本として、「リスク管理」についてしっかりおさえていきたいですね。



フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ





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