[上海 24日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の劉世錦・金融政策委員は24日、米国との金利差拡大により中国の金融緩和余地は限られており、景気を刺激するにはマクロ経済政策に依存するのではなく、起業家を育成するなどの構造改革が必要との見解を示した。
上海で開催された金融フォーラムで、中国政府はさまざまなレベルで財政面でもストレスを抱えていると指摘。「成長を安定させるためにマクロ政策に注力し続ければ、副作用はますます大きくなるだろう。さらに重要なのは構造改革の機会を再び逃してしまうことだ」と語った。
中国経済は消費低迷、輸出減少、不動産セクターの債務危機深刻化を背景に新型コロナウイルス禍後の回復が失速。当局は信頼回復に向け一連の金融・財政措置を講じているものの、成長安定化に苦戦している。
劉氏は、速やかな景気支援につながると同時に長期的な成長を促進する新たな構造改革を提案。それには、都市部の住民が享受している公共サービスを出稼ぎ労働者が利用できるようにするなど需要サイドの改革や、新興産業における起業家精神育成といった供給サイドの改革が含まれる。