*14:41JST ファインデクス Research Memo(1):医療データや文書管理システムを開発・販売する研究開発型Tech企業
■要約
ファインデックス (TYO:3649)は、医療データ管理システムや文書管理システムなどのソリューションを開発・販売する研究開発型のTech企業である。
企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するため、医療機関の診療を支援するDXソリューションを主力とするほか、官公庁・地方自治体の行政DXを支援するソリューションも展開し、さらに医療機器の開発・販売も推進している。
1. 医療ビジネス、公共ビジネス、ヘルステックビジネスを展開
同社はセグメント区分(2023年12月期より変更)を、医療機関向けに医療データ管理システムなど各種システムの開発・販売・保守等を行う「医療ビジネス」、官公庁・地方自治体向けに公文書管理システムの販売・保守等を行う「公共ビジネス」、視線分析型視野計の開発・販売・保守等を行う「ヘルステックビジネス」としている。
現状は医療ビジネスが収益の大部分を占め、公共ビジネスとヘルステックビジネスは成長途上の段階となっている。
同社の特長・強みとしては、専門知識を持ったエンジニアとコンサルタントの集団であること、少数精鋭の組織による高利益率なビジネスモデルであること、高い専門性と汎用性を兼ね備えた製品ラインナップを有していることなどが挙げられる。
なお同社のシステム導入数は増加基調であり、導入率は全国の国立大学病院で約75%、400床以上の大規模病院で約40%に達している。
同社の競合優位性を示す数値と言えるだろう。
2. 2023年12月期第3四半期累計は大幅増収増益で成長加速
2023年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比15.8%増の3,474百万円、営業利益が同63.2%増の796百万円、経常利益が同56.7%増の820百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同62.2%増の567百万円となった。
医療ビジネスの成長が牽引して大幅増収増益だった。
医療ビジネスにおいては導入病院数が順調に増加し、収益性の高いパッケージ販売(代理店販売)や保守・サポート料などストック収益も好調に推移した。
営業利益率は同6.6ポイント上昇して22.9%となった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年同期比1.0%減の1,251百万円で営業利益が同22.2%減の288百万円、第2四半期は売上高が同2.9%増の997百万円で営業利益が同27.8%増の108百万円、第3四半期は売上高が同59.9%増の1,225百万円で営業利益が同1,128.9%増の399百万円となった。
第1四半期は収益認識に関する会計基準適用の影響などで一時的に減収減益となったが、第2四半期はパッケージ販売の好調などにより増収増益となり、さらに第3四半期は医療ビジネスの中でも コンサルティング部門の成長が加速して大幅増収増益となった。
3. 2023年12月期は大幅増収増益予想を据え置き、さらに上振れ余地
2023年12月期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比11.5%増の5,065百万円、営業利益が同27.7%増の1,313百万円、経常利益が同26.0%増の1,330百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.7%増の923百万円としている。
医療ビジネスの拡大により大幅増収増益を見込んでいる。
医療ビジネスでは主力の画像ファイリングシステム「Claio」を中心に新規・追加導入の増加、パッケージの拡販、新たなビジネスモデルへの取り組みを推進する。
公共ビジネスでは公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」の拡販と月額利用料収入の積み上げを推進する。
ヘルステックビジネスでは視線分析型視野計「GAP」の販売計画遅れの巻き返しを図るべく、販売パートナーとの協業を強化する方針だ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.6%、営業利益が60.7%、経常利益が61.7%、親会社株主に帰属する当期純利益が61.5%とやや不足感があるように見えなくない。
しかしながら、年末年始にシステム導入が集中する傾向が強く、期初時点で下期偏重の計画となっており、おおむね順調に推移していると判断して良いだろう。
さらに、新規・追加導入病院数の増加に伴ってストック型のメンテナンス収益が増加基調であること、第3四半期に成長が加速していること、第3四半期末時点の受注残高が過去最高水準であることなどを勘案すれば、上振れ余地があると弊社では見ている。
4. 中期経営計画「Vision for 2025」
同社は成長戦略として中期経営計画「Vision for 2025」(2021年12月期~2025年12月期)を策定し、最終年度2025年12月期の経営目標数値(2023年2月13日付で修正値を公表)として売上高6,330百万円、経常利益2,100百万円などを掲げている。
基本戦略としては(1)経営資源の集中、(2)高度な研究開発の促進、(3)サステナブルな社会形成への貢献を掲げている。
なおM&Aについては、潤沢な現金及び預金の活用に向けてM&Aセクションを設置し、積極的に取り組む方針である。
2023年12月期第3四半期時点の事業戦略の進捗状況としては、ヘルステックビジネスにおいては販売が遅れているものの、医療ビジネスと公共ビジネスについてはおおむね順調である。
医療ビジネスにおいては、医療機関へシステムの最適解を提供するコンサルティング部を新設(2023年1月)し、早くも大規模病院の継続案件を受注するなど収益に大きく貢献している。
また大規模病院を中心とするクロスセル販売、メンテナンスを含めた包括的なサービス提供、導入コストの低いパッケージ製品の拡販による高利益率化なども順調に進展した。
公共ビジネスでは地方自治体での落札が順調であり、月額利用料収入が順調に積み上がる収益構造となりつつある。
さらに、導入・案件落札の増加に伴って知名度上昇という効果も見られた。
■Key Points
・医療データ管理システムや文書管理システムなどを開発・販売する研究開発型のTech企業
・全国の国立大学病院における同社システム導入率は約75%
・2023年12月期第3四半期累計は大幅増収増益で成長加速
・2023年12月期通期は大幅増収増益予想を据え置き、さらに上振れ余地
・2025年12月期の目標は売上高6,330百万円、経常利益2,100百万円
・利益率の上昇が顕著である点を評価、軽度認知障害の研究にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
ファインデックス (TYO:3649)は、医療データ管理システムや文書管理システムなどのソリューションを開発・販売する研究開発型のTech企業である。
企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するため、医療機関の診療を支援するDXソリューションを主力とするほか、官公庁・地方自治体の行政DXを支援するソリューションも展開し、さらに医療機器の開発・販売も推進している。
1. 医療ビジネス、公共ビジネス、ヘルステックビジネスを展開
同社はセグメント区分(2023年12月期より変更)を、医療機関向けに医療データ管理システムなど各種システムの開発・販売・保守等を行う「医療ビジネス」、官公庁・地方自治体向けに公文書管理システムの販売・保守等を行う「公共ビジネス」、視線分析型視野計の開発・販売・保守等を行う「ヘルステックビジネス」としている。
現状は医療ビジネスが収益の大部分を占め、公共ビジネスとヘルステックビジネスは成長途上の段階となっている。
同社の特長・強みとしては、専門知識を持ったエンジニアとコンサルタントの集団であること、少数精鋭の組織による高利益率なビジネスモデルであること、高い専門性と汎用性を兼ね備えた製品ラインナップを有していることなどが挙げられる。
なお同社のシステム導入数は増加基調であり、導入率は全国の国立大学病院で約75%、400床以上の大規模病院で約40%に達している。
同社の競合優位性を示す数値と言えるだろう。
2. 2023年12月期第3四半期累計は大幅増収増益で成長加速
2023年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比15.8%増の3,474百万円、営業利益が同63.2%増の796百万円、経常利益が同56.7%増の820百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同62.2%増の567百万円となった。
医療ビジネスの成長が牽引して大幅増収増益だった。
医療ビジネスにおいては導入病院数が順調に増加し、収益性の高いパッケージ販売(代理店販売)や保守・サポート料などストック収益も好調に推移した。
営業利益率は同6.6ポイント上昇して22.9%となった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年同期比1.0%減の1,251百万円で営業利益が同22.2%減の288百万円、第2四半期は売上高が同2.9%増の997百万円で営業利益が同27.8%増の108百万円、第3四半期は売上高が同59.9%増の1,225百万円で営業利益が同1,128.9%増の399百万円となった。
第1四半期は収益認識に関する会計基準適用の影響などで一時的に減収減益となったが、第2四半期はパッケージ販売の好調などにより増収増益となり、さらに第3四半期は医療ビジネスの中でも コンサルティング部門の成長が加速して大幅増収増益となった。
3. 2023年12月期は大幅増収増益予想を据え置き、さらに上振れ余地
2023年12月期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比11.5%増の5,065百万円、営業利益が同27.7%増の1,313百万円、経常利益が同26.0%増の1,330百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.7%増の923百万円としている。
医療ビジネスの拡大により大幅増収増益を見込んでいる。
医療ビジネスでは主力の画像ファイリングシステム「Claio」を中心に新規・追加導入の増加、パッケージの拡販、新たなビジネスモデルへの取り組みを推進する。
公共ビジネスでは公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」の拡販と月額利用料収入の積み上げを推進する。
ヘルステックビジネスでは視線分析型視野計「GAP」の販売計画遅れの巻き返しを図るべく、販売パートナーとの協業を強化する方針だ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.6%、営業利益が60.7%、経常利益が61.7%、親会社株主に帰属する当期純利益が61.5%とやや不足感があるように見えなくない。
しかしながら、年末年始にシステム導入が集中する傾向が強く、期初時点で下期偏重の計画となっており、おおむね順調に推移していると判断して良いだろう。
さらに、新規・追加導入病院数の増加に伴ってストック型のメンテナンス収益が増加基調であること、第3四半期に成長が加速していること、第3四半期末時点の受注残高が過去最高水準であることなどを勘案すれば、上振れ余地があると弊社では見ている。
4. 中期経営計画「Vision for 2025」
同社は成長戦略として中期経営計画「Vision for 2025」(2021年12月期~2025年12月期)を策定し、最終年度2025年12月期の経営目標数値(2023年2月13日付で修正値を公表)として売上高6,330百万円、経常利益2,100百万円などを掲げている。
基本戦略としては(1)経営資源の集中、(2)高度な研究開発の促進、(3)サステナブルな社会形成への貢献を掲げている。
なおM&Aについては、潤沢な現金及び預金の活用に向けてM&Aセクションを設置し、積極的に取り組む方針である。
2023年12月期第3四半期時点の事業戦略の進捗状況としては、ヘルステックビジネスにおいては販売が遅れているものの、医療ビジネスと公共ビジネスについてはおおむね順調である。
医療ビジネスにおいては、医療機関へシステムの最適解を提供するコンサルティング部を新設(2023年1月)し、早くも大規模病院の継続案件を受注するなど収益に大きく貢献している。
また大規模病院を中心とするクロスセル販売、メンテナンスを含めた包括的なサービス提供、導入コストの低いパッケージ製品の拡販による高利益率化なども順調に進展した。
公共ビジネスでは地方自治体での落札が順調であり、月額利用料収入が順調に積み上がる収益構造となりつつある。
さらに、導入・案件落札の増加に伴って知名度上昇という効果も見られた。
■Key Points
・医療データ管理システムや文書管理システムなどを開発・販売する研究開発型のTech企業
・全国の国立大学病院における同社システム導入率は約75%
・2023年12月期第3四半期累計は大幅増収増益で成長加速
・2023年12月期通期は大幅増収増益予想を据え置き、さらに上振れ余地
・2025年12月期の目標は売上高6,330百万円、経常利益2,100百万円
・利益率の上昇が顕著である点を評価、軽度認知障害の研究にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)