[ブリュッセル 26日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)は、米国の負担軽減のために他の加盟国が拠出金を増やすことで合意に近づいている。事情に詳しい3人の外交筋が明らかにした。
この取り決めは、トランプ米大統領の不満をなだめるためとみられる。NATOは来週にロンドンで開かれる創設70周年記念の首脳会議を前に合意を成立させることを望んでいる。ただしフランスは、この合意に加わらないことを明確にしている。
トランプ氏は、欧州の同盟諸国、特に最大の経済規模を誇るドイツが米国の防衛力提供を当然視していると非難し、各国はもっと国防支出を拡大すべきだと主張している。
こうした事態を受け、NATOのストルテンベルグ事務総長が推進してきた提案がようやく実ることになる。
合意が実現すれば、欧州諸国やカナダ、トルコといった米国以外の加盟国はNATO本部の運営費や海外スタッフの人件費などに充当される予算をより多く分担する。
負担規模は各国が毎年編成しているそれぞれの防衛費に比べれば小さいが、拠出金を拡大する姿勢を見せることで、トランプ氏の「口撃」を封じたい考えだ。トランプ氏は昨年7月、米国は欧州に対して数百億ドルというあまりにも大きな補助金を支払っていると発言した。
NATO外交筋の1人は「これは政治的なジェスチャーだ」と述べ、ともかくも米国にへそを曲げられれば同盟体制が成り立たないと説明した。
一方、今月7日にマクロン大統領がNATOは「脳死状態」と語って波紋を呼んだフランスは、同国外交筋によれば発言よりもずっと以前から拠出金拡大に反対している。世界中に3万人の部隊と艦船を配置している同国としては、安全保障に関する応分以上の負担を既に引き受けているとの主張だ。
3人の外交筋によると、フランスは拠出金拡大案を阻止はしないが、採決では棄権する意向という。