[アンカラ 26日 ロイター] - トルコの通貨リラは26日、一時対ドルで3%下落して1ドル=26.05リラと過去最安値を更新した。トルコ中央銀行が市場メカニズムの機能性を高め、マクロ金融の安定性を強化するために規制を簡素化したのが要因。先週に付けていた過去最安値の1ドル=25.74リラからさらに下落した。
リラは0945GMT時点では1ドル=25.84リラに下げ幅を縮小した。リラは今年に入ってから約28%下落しており、エルドアン大統領が5月下旬に再選された後に下げ幅を強めている。高インフレにもかかわらず政策金利を引き下げるといったエルドアン政権下での長年にわたる異例の経済政策を後退させる動きが出ている。
中銀はハフィゼ・ガイ・エルカン新総裁が就任し、今月22日に政策金利を650ベーシスポイント(bp)引き上げて15%にすることを決めた。利上げ幅は市場予想を下回ったものの、大幅な引き上げとなった。
25日には2021年から適用している数十の規制の一部の撤廃を開始。これらはリラの保有を促進するため、債務や信用、外国為替市場を政府が厳重に管理していた。
大統領選前にはリラの価値を維持するために中銀の外貨準備高を取り崩し、6月初旬の外貨準備高はマイナス57億ドルと記録的な低水準に落ち込んだ。準備高はその後の2週間で回復した。
中銀高官は、外国為替政策を調整したとして「先週の政策金利決定以来、外貨を売却して外国為替相場に介入することはしていない」と説明。「為替レートは完全に自由市場によって決められる。外貨準備高を使うことはなく、外貨準備高を積み上げる期間が始まった」と指摘した。
この発言は、中銀が外貨準備の使用を「完全に停止した」とする銀行関係者の見方と一致している。あるトレーダーは「リラの価値はもはや外貨準備高によって守られていない」と指摘した。