Andrea Shalal
[ワシントン 26日 ロイター] - 世界銀行が発展途上国向けの緊急融資規模を計1900億ドル近く増やせる可能性があることがロックフェラー財団の委託調査で明らかになった。融資に伴うリスクアプローチを改革することで可能となり、世銀の信用格付けAAAを危険にさらすこともないという。融資は世銀傘下の国際復興開発銀行(IBRD)と、IBRDの姉妹組織である国際開発協会(IDA)が担う。
20カ国・地域(G20)の独立パネルは2022年、IBRDの厳格な自己資本比率の枠組みを緩和することで途上国向けの気候変動対策や開発促進用の追加融資を数千億ドル規模で行えると勧告した。ロックフェラー財団の委託を受けた企業「リスクコントロール」がこの勧告を検証し、主要部分を定量化した。
IBRDの23年6月期末決算では新規融資契約は386億ドル、IDAは342億ドルだった。
今回の調査によると、IBRDは世界的な信用格付け会社から信用格付けを引き下げられることなく今後10年間で融資を計1620億ドル増やすことができ、最貧国に融資するIDAは210億─270億ドルの増加が可能という。
また、格付け会社が格付けの際、「開発機関という唯一の地位」を反映するようにしたり、融資先が深刻な財政問題に陥った際に株主が資金拠出する「請求払い資本(コーラブル資本)」の引き当てを修正したりすれば、IBRDとIDAの追加融資可能額は計9000億ドル近くに拡大できるという。