■会社概要
(1)沿革
ラクオリア創薬 {{|0:}}の前身は世界的医薬品大手である米ファイザーの日本法人の中央研究所だ。
同研究所はファイザーの探索研究拠点として、「疼痛」、「消化器疾患」の領域を中核に創薬研究を行ってきたが2007年に閉鎖が決定された。
この決定を受けて当時の所長及び一部の従業員がEBO(エンプロイー・バイアウト。
従業員による買収)による独立及び創薬事業の継続を決意し、同社が誕生した。
証券市場には、2011年7月に大阪証券取引所JASDAQ市場グロースに上場した。
(2)ビジネスモデル
同社は研究開発型の創薬企業であり、通常の製薬企業とは少し異なるビジネスモデルとなっている。
すなわち、同社は研究開発に特化し、自前のMRや工場を持たない。
創薬研究により革新的な新薬の種(開発化合物)を創出し、その新薬の種を製品化・販売を担う製薬企業にライセンスアウト(技術・特許の導出)することで収益を上げるというビジネスモデルだ。
通常の医薬品の開発は、種となる化合物を見つける「探索研究」、動物実験で安全性・有効性を確認する「前臨床開発」、ヒトで安全性・有効性を評価する「臨床開発」という大きく3つのプロセスを経て、新薬として承認申請が行われ、当局に承認されて薬として発売されることになる。
また、臨床研究は第1相(フェーズI:P-I)から第3相(フェーズIII:P-III)まで3段階に分かれている。
同社の事業領域は、探索研究から臨床研究の第2相(フェーズII:P-II)までである。
具体的な収入の内容としては、医薬品候補化合物を同社が医薬品メーカーに導出した際に受領する「契約一時金」、導出後の臨床研究等の進捗に伴って節目ごとに受領する「マイルストーン収入」、化合物が医薬品として発売された場合に、その販売額の一定割合を受領する「ロイヤリティ収入」、共同研究において受領する「研究協力金」の4つの収入がある。
ロイヤリティ収入は最も安定性の高い収益と位置付けられるが、ロイヤリティの割合は個々の契約によって決定される。
医薬品業界のごく一般的な例としては7%~10%と言われている。
(3)特徴と強み
同社の強みとして2つ挙げることができる。
第1の強みはイオンチャネル創薬の技術である。
イオンチャネル創薬は難易度が高く、参入障壁が高い一方、薬効や製品の市場性の面での期待が大きい、新しい世代の創薬技術である。
第2の強みは創薬のためのインフラが充実していることだ。
具体的には約38万件を誇る化合物ライブラリーやスクリーニング・ロボット、解析のノウハウなどである。
イオンチャネル創薬は薬の世代としては新しい世代に属している。
イオンチャネルが作るイオンを透過させる経路(チャネル)には、「選択性」という特質がある。
すなわち、経路によって通過できる物質が限定され、例えばカリウムチャネル、ナトリウムチャネルなどと呼ばれる。
この選択性という特質を活用し、特定の箇所や疾患に強力に作用することで、従来とはまったく異なるアプローチの新薬が期待されている。
対象となる疾患の領域としては、疼痛、循環器系、消化器系などにおいて効果のある新薬を産み出せるとの期待がある。
しかし一方で、副作用をどう分離するかといった点や、創薬プロセス自体にも課題が多いことなどもあり、容易には参入しづらい創薬分野でもある。
同社はイオンチャネル創薬の様々な課題に対して、豊富な化合物ライブラリー、独自の測定機器を組み込んで効率性を上げたスクリーニング・ロボットの活用、大学や公的研究機関、大手製薬会社等との共同研究、精製・分析のノウハウといったソリューションを有しており、それらが同業他社に対する優位性にもつながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
(1)沿革
ラクオリア創薬 {{|0:}}の前身は世界的医薬品大手である米ファイザーの日本法人の中央研究所だ。
同研究所はファイザーの探索研究拠点として、「疼痛」、「消化器疾患」の領域を中核に創薬研究を行ってきたが2007年に閉鎖が決定された。
この決定を受けて当時の所長及び一部の従業員がEBO(エンプロイー・バイアウト。
従業員による買収)による独立及び創薬事業の継続を決意し、同社が誕生した。
証券市場には、2011年7月に大阪証券取引所JASDAQ市場グロースに上場した。
(2)ビジネスモデル
同社は研究開発型の創薬企業であり、通常の製薬企業とは少し異なるビジネスモデルとなっている。
すなわち、同社は研究開発に特化し、自前のMRや工場を持たない。
創薬研究により革新的な新薬の種(開発化合物)を創出し、その新薬の種を製品化・販売を担う製薬企業にライセンスアウト(技術・特許の導出)することで収益を上げるというビジネスモデルだ。
通常の医薬品の開発は、種となる化合物を見つける「探索研究」、動物実験で安全性・有効性を確認する「前臨床開発」、ヒトで安全性・有効性を評価する「臨床開発」という大きく3つのプロセスを経て、新薬として承認申請が行われ、当局に承認されて薬として発売されることになる。
また、臨床研究は第1相(フェーズI:P-I)から第3相(フェーズIII:P-III)まで3段階に分かれている。
同社の事業領域は、探索研究から臨床研究の第2相(フェーズII:P-II)までである。
具体的な収入の内容としては、医薬品候補化合物を同社が医薬品メーカーに導出した際に受領する「契約一時金」、導出後の臨床研究等の進捗に伴って節目ごとに受領する「マイルストーン収入」、化合物が医薬品として発売された場合に、その販売額の一定割合を受領する「ロイヤリティ収入」、共同研究において受領する「研究協力金」の4つの収入がある。
ロイヤリティ収入は最も安定性の高い収益と位置付けられるが、ロイヤリティの割合は個々の契約によって決定される。
医薬品業界のごく一般的な例としては7%~10%と言われている。
(3)特徴と強み
同社の強みとして2つ挙げることができる。
第1の強みはイオンチャネル創薬の技術である。
イオンチャネル創薬は難易度が高く、参入障壁が高い一方、薬効や製品の市場性の面での期待が大きい、新しい世代の創薬技術である。
第2の強みは創薬のためのインフラが充実していることだ。
具体的には約38万件を誇る化合物ライブラリーやスクリーニング・ロボット、解析のノウハウなどである。
イオンチャネル創薬は薬の世代としては新しい世代に属している。
イオンチャネルが作るイオンを透過させる経路(チャネル)には、「選択性」という特質がある。
すなわち、経路によって通過できる物質が限定され、例えばカリウムチャネル、ナトリウムチャネルなどと呼ばれる。
この選択性という特質を活用し、特定の箇所や疾患に強力に作用することで、従来とはまったく異なるアプローチの新薬が期待されている。
対象となる疾患の領域としては、疼痛、循環器系、消化器系などにおいて効果のある新薬を産み出せるとの期待がある。
しかし一方で、副作用をどう分離するかといった点や、創薬プロセス自体にも課題が多いことなどもあり、容易には参入しづらい創薬分野でもある。
同社はイオンチャネル創薬の様々な課題に対して、豊富な化合物ライブラリー、独自の測定機器を組み込んで効率性を上げたスクリーニング・ロボットの活用、大学や公的研究機関、大手製薬会社等との共同研究、精製・分析のノウハウといったソリューションを有しており、それらが同業他社に対する優位性にもつながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)