■イメージワン (T:2667)の事業内容
1. 変革期を迎えた主力のヘルスケアソリューション事業、キーワードは「遠隔」、「ウェアラブル」、「継続課金」
ヘルスケアソリューション事業は全社売上の92%(2017年9月期連結決算における医療画像事業)を占める同社の主力事業であり、PACS(Pictuer Archiving and Communication System<医療画像・保管・配信・表示システム>)を中心とするメディカルシステムとクラウド型ウェアラブル心電計である「duranta」を提供している。
メディカルシステムは、1994年のDICOM(医用画像フォーマット・通信プロトコルの標準規格)サーバ開発を出発点に、マルチモダリティ(CT、MRI、PETなどの医療機器)から得られる画像データを一元管理し、診察室などに設置されたPC等で閲覧を可能とする「PACS(POP-Net Viewer)」、読影業務フローに合わせ自由自在に設定可能で質の高いレポート作成とペーパレスを実現する「放射線部門レポートシステム(Connectio Report)」、放射線科の複雑なワークフローを効率よく管理する「放射線部門情報システム(Connectio RIS)」、遠隔画像診断支援サービス(Oceanio)など、医療画像分野向け製品のラインナップを充実してきた。
同社メディカルシステムの最終顧客はベッド数300床程度の比較的大規模な病院や専門的な検査施設がメイン、老舗ベンダー(2001年にEBMと国内独占代理店契約を締結)としてPACS導入実績は400病院程度に達している。
ただ、国内PACS市場は更新需要の取り込みが中心の成熟市場になっており、こうしたなかで、トモシンセシス対応マンモグラフやiPhone・iPad、クラウドなど新たな技術トレンドに対応したソリューション提供を実現するなど、日々進化する顧客ニーズへの対応は継続しつつ、新規需要が見込まれるプロダクトとして自社開発の「Connectioシリーズ」などを投入してきた。
ウェアラブル心電計(duranta)もまた、新規導入による成長が期待されるプロダクトである。
「duranta」は同社が国立大学法人東北大学、(株)リアルデザインと共同開発し、JST(独立法人科学技術振興機構)の復興促進プログラム支援を受け、2014年にリリースしたテレメトリー式心電送信機であり、一度の充電で7日間連続計測でき、全データクラウド保存、本体はコードレスで重量35gの軽量・小型、ノイズが少なく装着が手軽、複数のデバイスで同時に情報共有が可能、といった特徴を有している。
同社はその特徴を生かし、高齢化社会の進行に伴い需要が高まっている在宅医療・介護福祉分野向けに「在宅医にも優しい見守りシステム」として、循環器医療分野では患者負担が小さく有効な検査結果が得やすい「不整脈検出向け長時間心電用データレコーダ」として、それぞれ市場開拓に取り組んでいる。
この「duranta」が注力プロダクトに加わったことで、ヘルスケアソリューション事業のキーワードは、「遠隔」、「ウェアラブル(IoT)」、「継続課金型事業モデル」となりそうだ。
「duranta」のターゲット顧客は、今のところクリニックや介護施設、病院の循環器科であり、同社が既に顧客基盤を有する医療画像領域とは異なる。
このため、一見、飛び地進出のようにも思えるわけだが、「duranta」投入の背景には、医療業界の老舗ベンダーであり健康領域での社会貢献を企業使命とする同社だからこその必然性がある。
同社は2002年に東北大学医学部附属病院と共同で遠隔診断支援サービスを開始した。
奇しくもパートナーは「duranta」と同じ東北大学だが、いずれも先方から共同開発の依頼があったことは、長年蓄積された同社の知見と実績が顧客から一定の評価を得ていることの証左だろう。
自社開発の遠隔画像診断支援サービス(Oceanio)はASPサービスとして2006年からサービスを開始し長年にわたり安定稼働してきた実績を有しており、同社はその開発、サービス提供等を通じ、「遠隔」や「クラウド」という新たなコンピタンスを得ることになった。
IoT技術の進化により、「遠隔」での高品質な見守りや診断がウェアラブル・デバイスでも可能となるなかで、同社が「duranta」の開発に取り組んだことには事業方針としての一貫性がある。
また、「duranta」を活用した動きとして、同社は2015年12月に聖マリアンナ医科大学神経内科(公益社団法人日本脳卒中協会の神奈川県支部を担う研究・治療拠点)と不整脈を早期発見することで重大な脳卒中の発症や再発を予防するための共同研究を開始した。
「脳血管疾患(脳卒中)」は、国内患者数が150万人を超え、日本人の死因上位、要介護状態となる原因第1位となっており、同社がこの分野に進出したことにはCSV型企業としての必然性を感じる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田 吉弘)
1. 変革期を迎えた主力のヘルスケアソリューション事業、キーワードは「遠隔」、「ウェアラブル」、「継続課金」
ヘルスケアソリューション事業は全社売上の92%(2017年9月期連結決算における医療画像事業)を占める同社の主力事業であり、PACS(Pictuer Archiving and Communication System<医療画像・保管・配信・表示システム>)を中心とするメディカルシステムとクラウド型ウェアラブル心電計である「duranta」を提供している。
メディカルシステムは、1994年のDICOM(医用画像フォーマット・通信プロトコルの標準規格)サーバ開発を出発点に、マルチモダリティ(CT、MRI、PETなどの医療機器)から得られる画像データを一元管理し、診察室などに設置されたPC等で閲覧を可能とする「PACS(POP-Net Viewer)」、読影業務フローに合わせ自由自在に設定可能で質の高いレポート作成とペーパレスを実現する「放射線部門レポートシステム(Connectio Report)」、放射線科の複雑なワークフローを効率よく管理する「放射線部門情報システム(Connectio RIS)」、遠隔画像診断支援サービス(Oceanio)など、医療画像分野向け製品のラインナップを充実してきた。
同社メディカルシステムの最終顧客はベッド数300床程度の比較的大規模な病院や専門的な検査施設がメイン、老舗ベンダー(2001年にEBMと国内独占代理店契約を締結)としてPACS導入実績は400病院程度に達している。
ただ、国内PACS市場は更新需要の取り込みが中心の成熟市場になっており、こうしたなかで、トモシンセシス対応マンモグラフやiPhone・iPad、クラウドなど新たな技術トレンドに対応したソリューション提供を実現するなど、日々進化する顧客ニーズへの対応は継続しつつ、新規需要が見込まれるプロダクトとして自社開発の「Connectioシリーズ」などを投入してきた。
ウェアラブル心電計(duranta)もまた、新規導入による成長が期待されるプロダクトである。
「duranta」は同社が国立大学法人東北大学、(株)リアルデザインと共同開発し、JST(独立法人科学技術振興機構)の復興促進プログラム支援を受け、2014年にリリースしたテレメトリー式心電送信機であり、一度の充電で7日間連続計測でき、全データクラウド保存、本体はコードレスで重量35gの軽量・小型、ノイズが少なく装着が手軽、複数のデバイスで同時に情報共有が可能、といった特徴を有している。
同社はその特徴を生かし、高齢化社会の進行に伴い需要が高まっている在宅医療・介護福祉分野向けに「在宅医にも優しい見守りシステム」として、循環器医療分野では患者負担が小さく有効な検査結果が得やすい「不整脈検出向け長時間心電用データレコーダ」として、それぞれ市場開拓に取り組んでいる。
この「duranta」が注力プロダクトに加わったことで、ヘルスケアソリューション事業のキーワードは、「遠隔」、「ウェアラブル(IoT)」、「継続課金型事業モデル」となりそうだ。
「duranta」のターゲット顧客は、今のところクリニックや介護施設、病院の循環器科であり、同社が既に顧客基盤を有する医療画像領域とは異なる。
このため、一見、飛び地進出のようにも思えるわけだが、「duranta」投入の背景には、医療業界の老舗ベンダーであり健康領域での社会貢献を企業使命とする同社だからこその必然性がある。
同社は2002年に東北大学医学部附属病院と共同で遠隔診断支援サービスを開始した。
奇しくもパートナーは「duranta」と同じ東北大学だが、いずれも先方から共同開発の依頼があったことは、長年蓄積された同社の知見と実績が顧客から一定の評価を得ていることの証左だろう。
自社開発の遠隔画像診断支援サービス(Oceanio)はASPサービスとして2006年からサービスを開始し長年にわたり安定稼働してきた実績を有しており、同社はその開発、サービス提供等を通じ、「遠隔」や「クラウド」という新たなコンピタンスを得ることになった。
IoT技術の進化により、「遠隔」での高品質な見守りや診断がウェアラブル・デバイスでも可能となるなかで、同社が「duranta」の開発に取り組んだことには事業方針としての一貫性がある。
また、「duranta」を活用した動きとして、同社は2015年12月に聖マリアンナ医科大学神経内科(公益社団法人日本脳卒中協会の神奈川県支部を担う研究・治療拠点)と不整脈を早期発見することで重大な脳卒中の発症や再発を予防するための共同研究を開始した。
「脳血管疾患(脳卒中)」は、国内患者数が150万人を超え、日本人の死因上位、要介護状態となる原因第1位となっており、同社がこの分野に進出したことにはCSV型企業としての必然性を感じる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田 吉弘)