市場を動かすような経済指標がほとんどないため、ニュースの見出しが今週のリスクオフのセンチメントをより動かすだろう。
多くのトレーダーがすでに年末を前に取引を止めているので、クリスマス休暇のある今週の取引量は少なくなることが予想される。
米国議会とドナルド・トランプ大統領が金曜日の午前0時までにつなぎ予算案に合意しなかった結果、一部の政府機関が閉鎖されたため、市場の焦点は引き続き政治動向が中心のままだろう。
直近の政治の機能不全は来年の超党派的な協力には良くない。下院は民主党の支配下にあるため、より強い力を持つようになるだろう。
一方、すでに変動の激しい金融市場をさらにかき乱す可能性がある、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任をトランプ大統領が検討したと報道されており、こちらも焦点となるだろう。
トランプ大統領は経済に打撃を与えるとして、FRBの金融引締め政策を繰り返し非難してきた。しかしFRBはこれを無視し、今年4度目の利上げを先週実行したため、大統領の怒りを買ったのだ。
その他では、米国は経済指標の発表に関して比較的静かな週となる予定で、消費者心理および住宅に関する指標が最も注目を集めると予想される。
投資家はまた、物事を動かすようなニュースが出るかどうかを注視しながら、米中間で進行中の貿易戦争の動向に関心を払っている。そしてブレグジットからも目を離せない。
Investing.comでは市場に影響を与える可能性のあるその他の重要なイベントのリストをまとめてみた。
1. クリスマス休暇
米国株式市場と債券市場は月曜日に取引時間が短くなる。株式市場は米国東部標準時の午後1時で終わり、債券市場は午後2時に終了する。クリスマスのため、両市場は火曜日も休場となる。
金曜日には株価が再び急落し、2008年の金融危機以来の最悪の週となったダウ平均株価は、7%近く下落した。 ナスダック総合指数は弱気相場入りし、 S&P 500も最高値から18%近く下落している。
2. 米国政府機関の閉鎖
国境の壁建設のためにより多くの資金を要求するトランプ大統領との交渉の行き詰まりを解決することなく、土曜日に上院が休会した。これにより一部の政府機関の閉鎖はクリスマス休暇開けまで続くことがほぼ確実だ。
移民が不法に入国するのを防ぐためにメキシコとの国境に沿って壁を建設することは、トランプ氏の大統領選挙運動の中心的な政策だった。しかし民主党はこれに激しく反対し、50億ドルの彼の資金要求を拒否した。
トランプ大統領は土曜日の朝にツイッターで、彼が要求する「国境警備」予算を得られないならば閉鎖は「長くなる」と脅した。
政府に資金を提供するための法案について何の見通しもなしに、ミッチ・マコーネル共和党上院院内総務は木曜日まで上院を休会にした。
院内総務は民主党と合意が成立する場合には議員を呼び戻すと述べたが、部分的な政府機関の閉鎖は少なくともそれまでは延長される。
米軍をシリアから撤退させるというトランプ大統領の突然の決定に、ジェームズ・マティス国防長官が抗議して辞任し、政府機関閉鎖とともに大統領にとっては危うい週となった。
3. トランプ VS FRB
2人の関係者が土曜日に伝えたことによると、すでに不安定な金融市場に大打撃を与える可能性がある、パウエルFRB議長の解任をトランプ大統領が非公式に議論したとされる。
大統領による公的および私的なFRBの利上げへの反対意見や彼が指名したパウエル議長に対する繰り返しの批判にもかかわらず、議長を解任することは予想していないと関係者は付け加えた。
しかしムニューシン米財務長官は、議長の解任を提案したことはないと大統領が語ったと土曜日遅くにツイートした。
FRB議長を解任しようとする試みは前例のないことであり、政治から隔離するという「中央銀行の独立性」への攻撃と見られることになる。
利上げをしたことで、米国の株価が下落し、米国債利回りが景気後退の可能性を示唆し始めたため、トランプ大統領は、昨年2月上旬にFRB議長に就任したパウエル氏を頻繁に非難してきた。
4. 消費者信頼感指数
経済指標では、消費者信頼感指数が金曜日午前0時に公表される。
コンセンサス予想は133.7であり、前回の135.7からは下がる。予想通りなら4ヶ月で最も弱い数字となる。
5. 米国の住宅経済指標
商務省は金曜日の午前0時に新築住宅販売戸数を発表する予定だ。
11月に米国の新築一戸建て住宅の売り上げが2.5%増加して56万9,000戸に達したことを示すと予想されている。10月は2 .5年ぶりの最低値である54万4000戸になっていた。
土曜日午前0時には、全米リアルター協会が1.1%と予想される 中古住宅販売保留 を発表する予定だ。
最近のデータは、住宅ローン金利の上昇から打撃を受けている米国住宅市場の姿を伝えている。