以下は、2019年7月17日にYouTubeチャンネル「FiscoTV」で配信された「マザーズ市場動向2019」である。
フィスコマーケットレポーターの橋本 真依氏とフィスコの株式アナリストである雲宮 祥士氏が、対談形式でマザーズ市場の投資戦略について解説している。
全4回に分けて配信する。
橋本:では、マザーズ銘柄を取引する人にとって、有効な先物活用方法などあるのでしょうか。
雲宮:マザーズ市場の時価総額上位銘柄というと、メルカリ (T:4385)は約30万円、そーせいグループ (T:4565)も約20万円、PKSHA Technology (T:3993)やSansan (T:4443)は50万円以上、最低単位での売買としても資金が必要となってしまいます。
それに対して、マザーズ先物取引では証拠金と呼ばれる担保を差し入れて取引を行います。
株式の信用取引と似ていますが、信用取引が証拠金の約3倍の金額の取引を行うのに対して、東証マザーズ指数先物取引では証拠金に対して10倍以上の取引ができます。
そのため、10万円未満の証拠金から取引を開始できるのです。
たとえば、マザーズ市場の主力級の銘柄が非常に良い決算を大引け後に出したとします。
翌営業日のマザーズ指数の上昇に大きく寄与する可能性が高いなか、16:30から開始される夜間取引を活用すれば、先立ってその値上がり益を享受することができます。
しかも、少額から取引できるので、余力が少ないという投資家さんでも、ポートフォリオ構成を大きく変更する必要もありません。
悪材料が出た場合のヘッジだけでなく、この資金効率の良さに着目している方も最近は増えてきているかと思います。
橋本:そうなんですね。
夜間取引やヘッジなどにも使えるとのことですが、やはり流動性リスクが気になるところですが、取引は盛んに行われているのでしょうか。
雲宮: 2016年7月に上場したマザーズ先物の取引高を見てみると、18年6月に月間ベースで過去最高を記録し、その後も高水準での取引高推移が継続しています。
また、個人投資家が中心のイメージの強いマザーズ先物ですが、5月分の委託取引の内訳を見ると、取引高・取引共に海外投資家比率が4割を占めていることがわかります。
これまで個人投資家が取引主体といわれていましたが、最近では海外投資家の参入も確認されており、マザーズ先物のプレイヤーは増加しています。
流動性への懸念も現状は後退してきているのではないかと思います。
橋本:市場参加者が増えて、流動性も確保できてきたということですね。
雲宮:そうですね。
また、個別銘柄で、制度信用銘柄の中から証券取引所や証券金融会社が定めている貸借銘柄選定基準を満たしている貸借銘柄(いわゆる空売り可能な銘柄)は、マザーズ市場約290社中50社にも満たない、そして時価総額上位10銘柄のなかでは、ミクシィ (T:2121)とラクス (T:3923)のみです。
そのため、これらに対して空売りポジションの保有をしていた場合、思わぬ好材料発表や海外市場でポジティブなニュースなどが出た場合は、これら銘柄やマザーズ指数の反発局面が想定されるため、ここでもマザーズ先物買いが有効となってくるでしょう。
橋本:なるほど、資金効率の良さや夜間取引が可能な点から、様々な局面でマザーズ先物を利用することができるんですね。
雲宮:そうですね、どうしても夜間取引中のリスクヘッジといったイメージが先行しがちですが、資金効率の良さから買い戦略も非常に有効であるといったことをご理解頂けましたら幸いです。
橋本:今回のお話を通して、年後半にかけてのマザーズ市場の動向や、マザーズ先物について資金効率が非常に良いといった側面も学ぶことができました。
投資家の皆さんも、ポートフォリオの一部としてこのマザーズ先物投資をお考え頂いては、いかがでしょうか。
雲宮さん、ここまでありがとうございました。
雲宮:はい、ありがとうございました。
7月30日には、東証マザーズ指数先物取扱い会社(岩井コスモ証券、インタラクティブ・ブローカーズ証券、SBI証券、岡三オンライン証券、カブドットコム証券、光世証券、松井証券、楽天証券)で「マザーズ先物を活用した投資戦略」の動画を掲載していますので、皆さん、ぜひご覧になって下さい。