[ベルリン 2日 ロイター] - ドイツの主要経済研究所は2日、合同経済予測を発表し、今年と来年のドイツの経済成長予測を下方修正した。工業品の需要が世界的に低迷していることや、貿易摩擦を巡る不透明感の高まりが背景。今回の下方修正は、政府予測にも反映される。
経済成長率の予測は今年が0.5%、来年は1.1%。4月時点の予測はそれぞれ0.8%、1.8%だった。2021年は1.4%成長を見込む。
主要経済研究所は「現在、循環的な下振れリスクは高いが、ドイツ経済の著しい稼働率低下を伴う経済危機は視野に入っていない」と表明。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)も経済リスクだと指摘した。
さらに、現時点では追加の財政政策を導入する必要はないが、経済成長の見通しが一段と悪化した場合は、財政均衡を重視し新規の借り入れを行わない「ブラック・ゼロ」政策を放棄するべきだと主張した。
ドイツ政府は今月17日に最新の経済成長予測を公表する。4月時点の予測は今年0.5%、来年1.5%だった。
ドイツ産業連盟(BDI)は主要経済研究所の指摘を歓迎するとともに、政府に大規模な公共投資の実施を要請。マネジングディレクターのヨアヒム・ラング氏は「来年度のブラック・ゼロ堅持という決定に固執すべきではない」とし、「教育、環境、インフラへの投資を行うために、憲法が認める純新規借り入れという責任ある財政政策を行使しなければならない」と述べた。
これに対し、アルトマイヤー経済相は、経済危機が発生しているわけでもないのにブラック・ゼロ政策を放棄する必要はないと発言。同政策を議論する時期ではないし、議論そのものも間違っているとし、政府は減税や社会保障の拡充を行うべきとした。
ショルツ財務相は2日、経済危機が発生した場合、ドイツは対応することが可能だと表明。公共放送ARDに対し「適切な財源があるため十分に準備はできている。経済危機があれば対応措置が可能だ。しかし現時点でみられるのは景気減速のみだ」と述べた。
*内容を追加しました。