[東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日に発表した機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、7―9月期実績が前期比3.5%減となった。前期の反動で減少したが、当初発表されていた見通しより小幅な落ち込みにとどまった。10―12月期は3.5%増と、7―9月期の減少分を取り戻す見込みで、ならせば春から横ばいの動きとなりそうだ。
内閣府は、機械受注の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正した。増税や訪日客減少など内需への不安材料があり、エコノミストからは見通しの下振れ可能性も指摘されている。
9月単月でみると、民需は前月比2.9%減で3カ月連続の減少。ロイターの事前予測調査では前月比0.9%増と予想されており、結果はこれを下回った。前年比では5.1%増と水準は高い。
製造業は前月比5.2%減少した一方、船舶・電力を除く非製造業は2.6%増加した。外需は12.6%減。前月の大幅増の反動減となった。
7─9月期の機械受注実績は前期比3.5%減で、2四半期ぶりのマイナスとなった。製造業、非製造業ともに減少。4―6月期はいずれも伸びており、内閣府はその反動減とみている。
マイナスとなった要因として、製造業では一般機械や造船業からの受注の落ち込み、非製造業では運輸業からの鉄道車両や「その他非製造業」からの原子力原動機の減少などが挙げられる。前の期の大型案件の剥落が主因だ。当初は前期比6.1%落ち込むとの見通しが示されていたが、実績はこれより小幅な減少にとどまった。
10―12月期の見通しでは、製造業・非製造業ともに増加する見通し。外需も7―9月期実績の6.8%増に続き10―12月期も8.1%増となる見通し。
農林中金総合研究所・南武志主席研究員は、今後について、半導体サイクルの底入れや米中摩擦緩和に向けた動きが製造業の投資意欲の持ち直しにつながる可能性もあるものの、非製造業で消費税率引き上げ後の消費動向や訪日観光客減少などを挙げ、見通しは下振れることもありそうだと指摘する。
*内容を追加しました。
(中川泉 編集・グラフ作成:青山敦子)