[ロンドン 12日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)によると、7─9月の英就業者数は5万8000人減の3275万3000人と、2015年3─5月以降で最大の減少を記録した。
減少幅はロイターがまとめた市場予想(9万4000人減)を下回ったが、総選挙を控え労働市場が悪化していることが浮き彫りになった。
賃金も伸び悩み、求人も減少した。
英国では欧州連合(EU)離脱決定後も、労働市場は堅調に推移してきた。経営者が長期の投資よりも、解雇が容易な人員の採用を優先したことが背景とみられる。
7─9月の失業率は3.8%で、1975年初め以来の低水準。失業者は2万3000人減の130万6000人だった。
7─9月の賃金(ボーナスを含む)は前年比3.6%増。6─8月の3.7%増から伸びが鈍化し、ロイターがまとめたすべての市場予想を下回った。ただ、増加率は依然として約10年ぶりの高水準付近にとどまっている。
変動をならしたボーナスを除く賃金も3.6%増。すべての市場予想を下回った。
7─9月の時間当たりの生産高は前年比横ばい。4─6月は0.5%低下だった。生産性は2018年第2・四半期以降、上昇していない。
8─10月の求人数は80万人と、前年同期の85万3000人から減少。2009年末以降で最大の減少となった。
HSBCのエコノミスト、クリス・ヘア氏は「確かに雇用データは変動しやすく、最近の落ち込みはパートタイム雇用によるものだが、労働需要が大幅に低下する初期の兆候である可能性があり、労働市場の大きな転換点となり得る」と述べた。
一方、パンセオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は、労働市場の軟化は緩やかで、英中銀が現時点で利下げしない理由として十分との認識を示した。
発表を受け、ポンドはやや上昇した。
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