[大津市 27日 ロイター] - 日銀の片岡剛士審議委員は27日、大津市内で記者会見し、新型コロナウイルスが実体経済に与える影響を分析することが優先課題で、追加緩和を行う局面ではないと言明した。一方で、金融政策の枠組みの見直し作業にも早期に着手すべきとの見方を示した。
<新型ウイルスの影響を注視>
片岡委員は「追加緩和が効果あるか考える前に、新型コロナウイルスの状況やインパクトについてしっかり分析していくことがまず必要」と指摘。「追加緩和をすぐにやるべきだという局面ではない」と述べた。
必要に応じて躊躇なく追加緩和を打ち出す方針を示す一方で、「財政政策は短期間で経済に効いてくる」として、急速に景気が悪化する場合は政府の対策を含めた対応が重要になるとの見方を示した。
<金融政策のレビュー>
片岡委員は27日午前のあいさつで、政府・日銀の政策協調の重要性を強調。「財政・金融・成長政策の相互作用を含めた金融政策の効果を再度検証し、金融政策の枠組みをレビューすることを検討してもよいのではないか」と述べていた。[nL3N2AR0WD]
会見では、レビューに当たっては、これまでの政策の検証と枠組みの見直しの可能性と2段階に分けて行うことが望ましいと指摘した。日銀としては、新型コロナウイルスの感染拡大の実体経済への影響を見極める段階にあるが、「(政策レビューに)時間が掛かるなら、なおさら早いうちにやらなければいけない」と話した。
政策金利のフォワードガイダンス(FG)については、足元のコアCPI(消費者物価指数)が前年比0.8%上昇と目標の2%とのかい離が埋まらない状況を踏まえ、「これ以上の物価上昇の遅れを容認しないという強い約束を打ち出す必要がある」と指摘。FGの見直しにおいては「(物価目標達成への)強い意思を明示し、行動を伴う約束をしていくことがとても大事なのではないか」と語った。
*内容を追加しました。
(和田崇彦 編集:佐々木美和)