[東京 16日 ロイター] - 内閣府が16日に発表した1月機械受注統計では、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が前月比2.9%増と、減少予測を覆して増加した。世界的な半導体需要の回復状況もあり、電機からの受注が増加するなど、全般にIT投資が下支えしている。ただ新型コロナウイルスの影響が本格化する2月以降は状況が様変わりするとの見方が大勢で、1─3月受注は3期連続減となる可能性が高いとみられている。
1月の受注は増加となったものの、12月の2ケタ減からの戻りとしては小幅となっている。内閣府では「反動増という影響はあまりみられない」とみている。そのうで、ここ数カ月の動向をならしてみて、機械受注の判断を「足踏みがみられる」で据え置いた。
民間調査機関からは、「1月末までは世界経済が持ち直すというシナリオのもとで動いていた数字。ただ、2月以降は製造業、非製造業ともに、世界経済の悪化懸念から設備投資の落ち込みが続くだろう。特に3月以降の落ち込みが激しいのではないか」(農林中金総合研究所・南武志・主席研究員)といった見方が目立つ。
こうしたことから「企業は設備投資に一段と慎重姿勢になり、機械の発注を控えたとみられ1─3月期のコア民需は3期連続で、かつ大幅な減少へ陥る可能性が高そうだ」(SMBC日興証券・宮前耕也・シニアエコノミスト)との見方が目立つ。
なお、機械受注は今月季節調整の改定が行われ、内閣府発表の1─3月期の見通しはこれまでの前期比5.2%減から2.0%減まで減少幅が縮小されている。
1月の受注状況を詳しくみると、製造業は前月比4.6%増で2カ月連続増加、電機や化学、非鉄金属などからの伸びが寄与した。特に電機は世界的な電子部品の回復を映して、半導体製造装置などの需要が伸びているとみられる。
非製造業は同1.7%減で2カ月連続の減少となった。運輸・郵便業や、リース業などからの受注が減少した。
官公需は防衛省からの船舶、航空機の大型受注などがあり、前月比87.8%増、過去最高の伸びとなった。
外需は2カ月連続増となり、同9.1%増。コンピュータの大型案件2件が寄与した。
全体として、伸びた業種からの受注は電子機器やコンピュータ関連が寄与しており、IT投資が活発化している様子がうかがえる。
*内容を追加しました。
(中川泉 浜田寛子 編集:石田仁志) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200316T005532+0000