[ワシントン 11日 ロイター] - 気候変動対策などを盛り込んだ米上院の3兆5000億ドル規模の予算決議について、民主党内では早くも穏健派とリベラル派の間で歳出の規模や範囲を巡って亀裂があらわになっている。
ウェストバージニア州選出の民主穏健派で、時に共和党との橋渡し役を演じる保守系のジョー・マンチン上院議員は、連邦政府債務およびその他の潜在的な危機への政府の対応能力に「重大な影響」が及ぶことを懸念していると表明した。
また、民主のクリステン・シネマ上院議員は、3兆5000億ドルの規模を支持していないとしつつ、歳出法案に盛り込む代替案の策定に「誠実に」取り組むとした。
両議員はともに予算決議に賛成した。
歳出計画は気候変動や移民改革といった民主党の優先項目に対処するほか、普遍的な就学前教育や高齢者向け在宅医療補助などの社会的プログラムを創設するもので、下院の進歩派はこれまで、こうした目標に十分な資金が手当てされない限り法案を支持しないと警告している。
民主党は上下両院を僅差で抑えているにすぎず、上院ではわずか1人の、下院でも少数の造反者が出れば法案は葬り去られる可能性がある。
米上院は、気候変動などに対応する3兆5000億ドル規模の予算決議を50対49の賛成多数で可決。民主党が結束して賛成票を投じた。民主党は「財政調整措置」と呼ばれる仕組みを使い、単純過半数で数カ月以内に歳出法案を可決する計画だ。
上院民主党トップのシューマー院内総務は、党が結束して歳出パッケージ法案に取り組むと信じていると表明。「党内には規模が大きすぎると考える者も、小さすぎると考える者もいるかもしれない」としつつ、「財政調整措置では、われわれは結束して物事を成し遂げる」とした。
民主党のホイヤー下院院内総務は、下院は8月23日にも夏季休会を終え、予算決議を審議するとした。
<債務上限問題>
一方、共和党の上院議員数十人は連邦政府債務の上限引き上げに賛成しないとする誓約書に署名。民主党の大規模な予算決議に対抗した。債務上限問題を巡っては、秋に政府の資金が枯渇するとみられている。
最初に報じたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、共和党のロン・ジョンソン上院議員は「(民主党は)自らの赤字財政支出を実現するために共和党が債務上限を引き上げると期待すべきではない」と述べた。
バイデン大統領は、債務上限問題が解決されるとの自信を表明。記者団に対し「彼ら(共和党)がわれわれをデフォルト(債務不履行)させることはないだろう」と述べた。
債務上限の引き上げや適用停止が実現しない場合、連邦政府が債務不履行に陥る恐れもある。
シューマー氏も、デフォルトになれば国にとって非常に危険だとして、共和党がそうした事態に陥らせるようにするとは考えていないとの認識を示した。