[シドニー 12日 ロイター] - 豪銀大手ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が12日発表した第3・四半期(4─6月期)のキャッシュ利益は前年同期比10.3%増の17億豪ドル(12億5000万米ドル)となった。新型コロナウイルスに関連した損失に備えていた資金を利益に組み入れることができた。
豪銀は消費者信頼感や住宅市場が低金利や政府支出に支えられる中、新型コロナ流行からの回復が急速に進んでいる。ただ、このところの新型コロナ感染者拡大で一定の不透明感に直面している。
NABの第3・四半期は1億1200万豪ドルの信用減損の戻し入れがあった。前年同期は不良債権費用を5億7000万豪ドル計上していた。
ロス・マキューアン最高経営責任者(CEO)は、最近の新型コロナ感染拡大とそれに伴うロックダウン(都市封鎖)が一部顧客にとって不透明感になっているとしつつ、豪州およびニュージーランドの長期見通しについて依然楽観的だと説明。「この期間に通じる力強い経済成長、進行中の政府支援および顧客の比較的健全なスターティングポジションは、いったん制限が緩和されれば経済が再び反転するとの自信をわれわれに与えてくれている」とした。
NABによると、7月に豪国内主要都市で導入されたロックダウンに関連した繰延ローン残高は同月末時点で10億豪ドル未満となっている。
NAB株は午前終盤の取引で0.28%高。
NABはまた、ポートフォリオの「リスクを減らす」ため、航空分野のローン債権15億豪ドルを売却したことを明らかにした。
6月末時点の普通株Tier1比率(CET1)は12.6%と、3月末時点の12.4%から上昇した。