(見出しを修正しました)
[東京 20日 ロイター] - 財務省が20日発表した3月貿易統計速報は、原油や石炭など原材料をはじめとする輸入の伸びが輸出を上回り、市場予想以上の貿易赤字だった。対ロシアからの輸入は資源価格の上昇で2倍弱伸長した。同時に公表した2021年度の貿易収支は2年ぶりの赤字で、赤字幅は2014年度以来、7年ぶりの大きさだった。
3月の貿易収支は4124億円の赤字だった。貿易赤字は8カ月連続。ロイターの予測中央値1008億円の赤字を上回った。
円安の影響を受け、輸出額、輸入額ともに比較可能な1979年1月以降で過去最大。輸出は8兆4609億円で前年比14.7%増加した。半導体等製造装置や鉄鋼などの輸出が増え、前年同月比で13カ月連続のプラスとなった。一方、輸入は前年比31.2%増の8兆8733億円だった。原粗油や石炭、液化天然ガスの輸入が増え、14カ月連続で増加した。
信金中央金庫の角田匠・上席主任研究員は「ウクライナ情勢の深刻化でエネルギー価格の高止まりが見込まれる。1バレル=100ドルの状況が続くようなら、貿易赤字が恒常化する可能性が高い」と分析。半導体を中心とした部品不足の影響で、自動車の輸出が伸びていないことも指摘した上で、「上海のロックダウン(都市封鎖)の影響が部品供給不足に拍車をかける可能性がある。自動車の輸出が伸び悩む傾向はしばらく続きそうだ」とみていた。
地域別では、対米輸出が前年同月比23.8%増の1兆5346億円で、6カ月連続の増加。原動機や自動車部品、医薬品などがプラスに寄与した。アジア向けは同12.4%増で13カ月連続増加した。中国向けは2.9%増で2カ月連続のプラスだった。
ウクライナへの軍事侵攻で西側諸国が制裁を科しているロシアへの輸出は、前年同月比31.5%減少し509億円だった。原動機や自動車などがマイナスに作用した。一方、輸入は資源価格の上昇で、同89.6%増の1875億円だった。
財務省によると、原粗油の3月輸入状況は金額ベースで前年同月比69.7%増の8651億円だった。円建ての輸入通関単価は1キロリットルあたり6万6887円となり、対前年同月伸び率はプラス61.0%となった。
21年度の貿易収支のうち、輸出額は前年比23.6%増の85兆8786億円と、3年ぶりに増加した。鉄鋼や自動車、半導体等製造装置などがプラスに寄与。また、輸入も前年比33.3%増の91兆2534億円と3年ぶりに増加した。原粗油や石炭、液化天然ガスなどが増加したことが要因。輸出額、輸入額、ともに過去最大だった。
*財務省の発表資料は以下のURLをクリックしてご覧ください。http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm※過去の関連記事は[JPTBL2=ECI]をクリックしてご覧下さい。※経済モニターアプリは reuters://screen/verb=Open/URL=cpurl:/%2Fapps.cp./Apps/economic-monitor をクリックしてご覧ください。