[ハノイ 1日 ロイター] - ベトナム訪問中の岸田文雄首相は1日、日本とベトナムが経済と安全保障面の関係強化で合意した表明した。また、ウクライナ戦争の終結も呼びかけた。
ハノイでベトナムのファム・ミン・チン首相と会談した後、記者団に対し、新型コロナウイルスの影響を受けた両国経済を明確な回復軌道に乗せるため2国間関係を強化する、と述べた。
チン氏は、両国が「相互の利益に従い、パンデミック(世界的大流行)後の貿易面での協力強化、サプライチェーン(供給網)とエネルギー転換の強化で合意した」と述べた。
日本はベトナムにとって最大の政府開発援助提供国であり、3番目に大きな海外直接投資実施国。ベトナムの税関データによると、昨年の2国間貿易は8.4%増の429億ドルだった。
岸田、チン両氏は、ロシアのウクライナ侵攻に対する地域的な対応、および南シナ海の紛争についても協議。岸田氏はウクライナ危機について、われわれは力による現状変更は認められないということで合意した、と説明。われわれは戦争を直ちに終わらせる必要性で合意した、とも述べた。
また、南シナ海での力による現状変更の試みに強く反対することでも一致したという。
チン氏は、ベトナムが国際機関を通じてウクライナへの人道支援のために50万ドルを寄付すると表明した。
同氏は、ベトナムが9月に日本へリュウガンの輸出を、その後グレープフルーツ、アボカド、ランブータンといった他の農産物の輸出をそれぞれ開始する見通しだとした一方、日本のブドウに自国市場を開放すると述べた。
岸田氏は、2050年までにカーボンニュートラルな社会を目指すベトナムにおいて、日本がバイオマス、水素、アンモニアといったエネルギー源への転換を支援すると表明した。