[ワシントン 17日 ロイター] - 米商務省が17日発表した4月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.9%増え、伸び率は市場予想と一致した。供給面の改善を背景に自動車の購入や外食への支出が拡大し、高インフレにもかかわらず、消費は引き続き堅調に推移した。
エコノミストの事前予想は0.2%増から2.0%増まで幅があった。
3月分は1.4%増と、前回発表の0.5%から上方改定された。
キャピタル・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ポール・アシュワース氏は「堅調な消費者の動向を踏まえると、米景気後退が差し迫っているという憶測は的外れのように見える」と述べた。
シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、マシュー・マシコット氏は「小売売上高が好調だったことで、成長の下振れリスクに対する懸念が限定され、連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制に向け利上げに注力できる」と指摘。「ある時点で物価上昇により消費需要は減退し、インフレは減速する。ただ現時点では、名目所得の伸びなどで需要が促進されている」と述べた。
内訳では、自動車が2.2%増と、3月の1.6%減からプラスに転じた。
半面、ガソリン価格の一時的な下落を背景にガソリンスタンドは2.7%減少した。
ガソリンを除く小売売上高は1.3%増だった。
バー・レストランは2%増、衣料品は0.8%増、オンラインストアは2.1%増。電化製品や家具も増加した。
一方、建築資材・園芸は0.1%減、スポーツ用品・趣味・楽器・書籍は0.5%減だった。
小売売上高の大部分はモノが占めており、4月にピークを迎えたとみられるインフレ調整をしていない。バーやレストランが唯一のサービス部門として集計されている。
米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、4月のクレジットカードとデビットカードの総支出は、前年同月比13%増えた。BofAはインフレで支出が増えているものの「消費の強さがこれを超えていることは明らかだ」と指摘した。
国内総生産(GDP)の個人消費項目に密接に関連しているとされる指標で、自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は4月に1.0%増。3月分も1.1%増と、前回発表の0.7%増から上方改定された。