[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日に発表した5月鉱工業生産指数は、予想から大きく下振れて前月比7.2%低下した。中国のロックダウン(都市封鎖)により部品調達に影響が出たことで自動車をはじめ幅広い業種で生産が下押しされ、2020年5月以来の大幅な下げとなった。経産省は基調判断を「弱含み」とし、4月の「足踏みをしている」から下方修正した。判断引き下げは2カ月連続。
新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった20年は、5月に前月比10.5%、4月に10.3%、それぞれ減産となっていた。今回の7.2%の落ち込みは、比較可能な2013年2月以来、3番目に大きなマイナス幅だった。5月の指数は88.3で、20年8月と並ぶ低水準。
5月の生産において前月比で低下に寄与した業種は、普通トラックや普通乗用車などの自動車工業で前月比8.0%のマイナスだった。今年1月以来の下げ幅。また、リチウムイオン蓄電池などの電気・情報通信機械工業は同11.3%の落ち込みで、過去最大の下落幅となった。
生産予測指数は6月が前月比12.0%上昇、7月が同2.5%上昇が見込まれている。予測指数は上振れする傾向があるため、補正した試算では6月は前月比4.9%上昇となっている。
トヨタ自動車 が29日発表した5月の世界生産は、中国・上海のロックダウンの影響などが直撃し、2カ月連続で前年割れした。都市封鎖や半導体不足などによる世界生産への影響は、他の自動車メーカー大手でも続いている。
日本総研の主任研究員・下田裕介氏は「大幅な落ち込みは、中国のロックダウンで部品不足や物流の混乱が生じたことが大きく影響したため」と指摘。「今後、ある程度の挽回生産は期待できるが、先行き不透明がぬぐえない状況なので生産の正常化や回復は思ったより時間を要する」とみている。
また、電力需給についても、今後の生産活動に影響が出る可能性はあるという。
*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html
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