[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米主要銀行の4-6月期決算発表が終わったが、各社の最高経営責任者(CEO)からはカード支出や預金データに基づき、米消費者がガソリンや食料品高騰やコロナ禍以来の貯蓄取り崩しにもかかわらず、意外なほど金融的な「健全度」を持ちこたえていたとの指摘が相次いだ。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏は先週、アナリストらに対し、「消費者の状態は良好だ。消費者は支出を続けているし、所得も増えている」と語った。同行の14日の発表によると、4-6月のデビッドカードとクレジットカードの支出合計は前年同期比15%増加だった。
バンク・オブ・アメリカも、同支出合計が10%増えたことを明らかにした。ブライアン・モイニハン氏は18日、同行顧客の4-6月の支出が全体で1兆1000億ドルと、同四半期として過去最高だったとした上で、消費者が「極めて強靱だ」と感想を述べた。
シティグループのフレーザー氏は、米国が景気後退の淵にあることを示唆するような数字がほとんどないと指摘。「(米経済が)これほど不安定な局面に入りつつあるのに消費者がここまで健全なのは異例な状況だ」と話した。6月分の米雇用統計こそ就業者が市場予想より増加したが、1-3月の国内総生産(GDP)はマイナス成長だった。
JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、4-6月の平均的な米消費者のガソリン支出が前年同期比で35%増え、他の継続的支出や非裁量的支出が合わせて約6%増えたことを指摘。「あらゆる所得層」が価格上昇に伴う非裁量的支出の増額に対応できていたと分析した。
一方でウェルズ・ファーゴによると、4-6月の衣料品や家の改修関連といった裁量的支出は2桁の減少だった。同行のチャールズ・シャーフCEOは全体的なクレジットカード支出が5月と6月に鈍化し始めたと指摘。それでも前年同期の同支出に比べれば、4-6月は28%増加だったという。
バンク・オブ・アメリカのモイニハン氏は、カード融資の信用スコアの数字などからは消費者の信用の質が「劣化している様子が皆無」で、むしろ大きく上がっていることさえ見て取れると語った。
ただ、米銀幹部らからは、連邦政府の国民向けコロナ対応給付金支給が終了していることで、一部の顧客層の間では平均的なバランスシートが着実にコロナ禍前の悪い状態に戻りつつあるとの声も出た。インフレによる支出増大に所得の伸びのペースが追いついていないとの指摘もあったほか、アナリストに問い詰められ、低所得層の融資延滞率が上がり始めていると口にした幹部もいた。