[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下で導入した3000億豪ドル(2010億米ドル)規模の債券購入プログラム(BPP)の総括で、経済に恩恵をもたらした一方、中銀には多額の損失をもたらしたとの見解を示した。
BPPはパンデミックに伴う一連の緊急刺激策の一部で、2020年11月から22年2月まで続いた。
豪中銀は、BPPで中銀が負担する財務コストは政策金利の水準に応じて350億─580億豪ドルに及ぶと試算。その結果、中銀は数年間にわたり政府への配当ができなくなる可能性が高いとした。
中銀は2021/22年度に保有債券の多額の時価評価損を計上することになるが、これは今後10年間の債券償還に伴い相殺される見込み。
中銀は、BPPは国債利回りと豪ドルの両方を下げることに成功したが、コストがかかるため緊急時にのみ使用すべきであると結論付けた。
債券購入総額は約3000億豪ドルで、満期になると中銀は2810億豪ドルを受け取ることになる。だが、景気回復と利回り上昇により債券の市場価値は急落し、中銀も5月以降に政策金利を225ベーシスポイント引き上げている。
豪中銀は資産を時価評価するため、22年6月までの1年間に多額の損失を計上し、資産がマイナスになる可能性がある。