[23日 ロイター] - S&Pグローバルが23日発表したユーロ圏の11月の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.8で10月の47.3から予想外に上昇した。ただ物価高で消費者が支出を抑制し、需要は引き続き減少した。
ロイターがまとめた予想は47.0だった。
前月から改善したものの総合PMIは好不況の分かれ目である50を5カ月連続で下回った。
オックスフォード・エコノミクスのパオロ・グリグナニ氏は「PMIデータはユーロ圏がリセッションに入ったことを示したが、これまでのリセッションほど深刻でないことをうかがわせた」と述べた。
ドイツの総合PMI速報値は46.4で、前月の45.1から予想外に上昇した。一方フランスの総合PMI速報値は低下し2021年2月以来初めて50を下回った。
<サービス業が低迷>
サービス部門PMIは10月と同じく20カ月ぶり低水準の48.6。エコノミストは48に低下すると予想していた。
サービス業の雇用は引き続き拡大したが、2021年3月以来最も鈍いペースとなった。雇用指数は52.5から51.7に低下した。
エネルギー価格高騰やサプライチェーン混乱で打撃を受ける製造業のPMIは47.3。前月の46.4から予想外に上昇した。エコノミストの予想は46.0だった。
生産指数は43.8から45.7に上昇。受注残を消化したことが原因。新規受注は再び大幅に減少した。
価格圧力は高水準ながらやや緩和した。産出価格指数は66.1から63.7に低下し21年3月以来の低水準となった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「欧州中央銀行(ECB)の連続利上げにつながった物価圧力の急激な高まりが和らぐ兆しが出ており、特に製造業でそれが顕著だ。これは生活費高騰をある程度抑制するだけでなく、一段の積極的利上げの必要性低下につながる可能性がある」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのジャック・アレン・レイノルズ氏は「投入価格、産出価格の両指数が低下し、総合インフレ率がピークに近づいている新たな材料を提供した。しかし水準的には極めて高い。サービス業からは賃金上昇がコスト押し上げ圧力になっているとの声が聞かれる」と述べた。
ユーロ圏の10月の消費者物価指数(HICP)改定値は、前年比上昇率が10.6%で、速報値の10.7%からわずかに下方修正されたが、エネルギー価格高騰を背景に過去最高水準だった。