[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した11月の鉱工業生産は、上海でロックダウン(都市封鎖)が導入されていた5月以来の小幅な伸びにとどまり、小売売上高は5月以来の大幅な落ち込みとなった。新型コロナナウイルス感染拡大と行動制限で景気の減速感が強まった。
中国政府は感染を封じ込めるゼロコロナ政策を緩和しているが、これまでの広範なロックダウンや不動産部門の停滞、世界的な需要低迷が景気の先行きに影を落としている。
鉱工業生産は前年比2.2%増と、前月の5.0%増から伸びが鈍化した。ロイターがまとめたアナリストの予想(3.6%増)も下回った。工場が集積する広東省広州市や河南省鄭州市の生産混乱による影響が見られた。
11月の小売売上高は前年比5.9%減少。サービス業の不振が目立った。市場予想は3.7%減、10月は0.5%減だった。
人との接触が多いケータリング部門の売上高は10月の8.1%減から縮小幅が拡大して8.4%減となった。
一方、自動車生産は10月に8.6%増加していたが、9.9%減とマイナスに転じた。
国泰君安国際のチーフエコノミスト、周浩氏は「弱い指標は、成長の勢いを回復するためにさらなる政策の緩和が必要であることを示している」と指摘。
中国人民銀行(中央銀行)がこの日、1年物中期貸出制度(MLF)を通じて満期分を超える資金供給を行ったことは、全体的な緩和姿勢と合致しているとし、来年第1・四半期にMLF金利を10ベーシスポイント(bp)引き下げると予想した。
人民銀は差し引き1500億元を供給。金利は4カ月連続で2.75%に据え置いた。
統計局が同日発表したデータに基づきロイターが算出した11月の不動産投資は前年同月比19.9%減と、2000年の統計開始以来最大の落ち込みとなった。
1─11月の固定資産投資は前年比5.3%増加した。市場予想は5.6%増。1─10月は5.8%増だった。
企業は人材採用を抑えたままで、11月の調査に基づく全国の失業率は5.7%と、10月の5.5%から悪化した。若年層の失業率は17.1%と、17.9%から低下した。
ナティクシスのアジア太平洋首席エコノミスト、アリシア・ガルシアヘレロ氏は「12月の統計はさらに悪い内容になるかもしれない。中国の状況が全面的に悪化しているからではなく、トンネルの出口に到達しつつあるからだ」と指摘。
経済再開の直接的な結果として12月は鉱工業生産の「大きな崩壊」を見込むとした。第4・四半期の経済成長率予想は3%から2.8%に引き下げた。