[ワシントン 20日 ロイター] - 全米リアルター協会(NAR)が20日に発表した2022年12月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比1.5%減の402万戸と10年11月以来、12年1カ月ぶりの低水準となった。減少は11カ月連続となり、1999年以来の長期間の減少が続いている。
ロイターがまとめた全体の市場予想は396万戸だった。中古住宅は米住宅市場の大きな部分を占めており、前年同月比は34.0%減った。
ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「中古住宅販売にはややタイムラグが見られる」とし、「住宅ローン金利の低下は今後数カ月の住宅活動の下支えになるだろう」と述べた。
地域別は、横ばいだった西部を除く3地域で減少。
米連邦準備理事会(FRB)による1980年代以来の急速なペースの政策金利引き上げが住宅市場を落ち込ませている。
ただ、住宅ローン金利がこのところ低下しているため、底を打つ時期が近づいているとの期待感も出ている。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、期間30年の住宅ローン固定金利は今週の平均が6.15%となり、22年9月半ば以来の低水準となった。
22年通年は前年比17.8%減の503万戸と、年間としては14年以来、8年ぶりの低水準。減少率は金融危機が起きた08年以来、14年ぶりの大きさとなった。
22年12月の中古住宅価格の中央値は前年同月比2.3%上昇の36万6900ドル。12月としては最高値だったが、上昇率は20年5月以来の小ささだった。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「米国内のおよそ半分の市場で昨年よりも割安な価格が購入希望者に提供される可能性が高い」と述べた。
また、LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「需要が冷え込み、家計が安定するにつれ、年前半は販売可能な住宅の供給が減少する可能性が高い。販売可能な住宅の供給が減少すれば、価格中央値は高止まりし、特に初回購入者を苦しめることになる」とした。
市場に出ている中古住宅は97万戸。前月より13.4%減ったものの、前年同月比は10.2%増えた。
12月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は2.9カ月で、前年同月の1.7カ月から長期化した。健全な需給バランスは4─7カ月とされている。
住宅が市場に出ていた期間は26日間で、11月の24日間から延びた。販売された住宅の57%は1カ月以内に買い手が決まった。
初回購入者の割合は31%。前年同月の30%から上昇した。現金のみによる販売の割合は28%。前年同月は23%だった。投げ売り物件などはわずか1%だった。